2011年12月24日土曜日

青山貞一氏が語る、八ッ場ダムが止まらない理由

民主党政権に代わったときに、自然保護運動をしていた人たちが何よりも期待したのは大形公共事業の縮小だった。そして、八ッ場ダムをはじめとしたダムの中止。しかし、そんな期待はあっさりと裏切られ、国交省は工事を再開しようとしている。あの前原氏の意気込みはいったい何だったのか? なぜいつまでも目的を失った無駄な事業が止められないのか? そのことを東京都市大学教授の青山貞一氏がYouTubeで解説している。

八ッ場ダム工事再開問題①
http://www.youtube.com/watch?v=9F2nD_0U6Yg

八ッ場ダム工事再開問題②
http://www.youtube.com/watch?v=cRTjqvyYFXk

 全部聞くと1時間以上になるので、要旨を以下に紹介しておきたい。

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 現在、河川改修、砂防ダム事業、道路の付け替え、吾妻線の橋梁など、ダム本体以外はほとんど工事が終わっており、住民移転も進んでいる。川原湯温泉の移転が遅れている程度。

 当初予算は2300億円だったが、6600億円に倍増。さらに道路特別会計、水資源特別会計などをつくってお金を使っており、4600億をはるかに超えている。これ以外にも5、6千億円を使っていると思う。民主党は建設中止宣言したが、工事は止まっていなかった。政治主導といいながら、官僚主導だった。

 前原氏は中止宣言した。しかし、国交省はダムの必要性について関係自治体や下流域の建設費を負担している都県の知事にも意見を聞き、有識者にも検討させた。今まで推進してきた知事に検討させて不要だということになるわけがない。国交省の有識者会議は一部慎重派が数名いるが、過半数は推進派など御用学者。このような国交省の仕掛けが動き出した時点で、今の状況はわかっていた。同じような例として長野県の浅川ダムがある。田中康夫さんが脱ダム宣言したのに行政手続きはまったく止まっておらず、政治主導にならなかった。こうしたことの背景には、政治家が行政手続きや計画確定手続きを理解しておらず、行政の思うままになっていることがある。

 日本の住民裁判はほとんど勝てないが、和解に持ち込めたものも含めると勝訴は6%程度。八ッ場ダムは国の直轄事業なので、国を相手に裁判ができない。そこで、応分の負担をしている地方自治体に対して差し止め請求裁判を起こした。その後損害賠償も複数起こした。裁判を起こした側の弁護士は、オンブズマンをやっているような名うての弁護士だったが、奇妙なことに自治体相手に起こした裁判であるのに関わらず、事業者側つまり国なり県の側にいる弁護士は同じだった。同じような理由でみんな負けてきた。大手メディアは裁判で何が主張されていたか、何で負けたのか、一切報道しなかった。

 行政訴訟の本質的問題がある。日本の行政訴訟では原告適格でほとんど却下。実質審議に入っても勝つことはきわめて稀。情報公開裁判はけっこう勝つが、時間がかかる。勝ったときはダムができてしまっている。行政訴訟は機能不全になっている。

 八ッ場ダムの場合、長野原町の住民が原告にほとんどいない。地域住民はお金をもらって移転するなどしてしまった。環境問題に関わっている人や税金の無駄遣いを問題にしている弁護士たちが起こした裁判になった。裁判を起こした側が計画高水というダムの根拠に深入りし過ぎ、何年も費やしてしまったという方もいる。そこにも敗因があったのではないか。

 八ッ場ダムの計画はカスリン台風の洪水被害が大きなきっかけになっている。しかし、ダムを造ろうとしたときに、吾妻水系の酸性水によって鉄やコンクリートがとけてボロボロになる、という問題が起こった。そのことは国交省も認めている。そこで品木ダムをつくり、石灰で酸性水を中和した。これで酸性水は改善されたが、品木ダムに大量のヘドロが溜まり、浚渫しなければならなくなった。そのヘドロにヒ素が高濃度に入っていた。この問題については高杉晋吾さんが指摘している。

 カスリン台風は大昔の洪水で、そのあと利根川水系に多くのダムが造られ、最後に残ったのが八ッ場ダムだった。洪水が防げることはほとんどないというのが専門家の意見。地質がもろく、土砂が堆積する。利水では、東京、埼玉、群馬などの水利用量は減っている。農業用水の需要もそれほどない。工業用水も同じ。発電も、中小水力がたくさんある。目的が失われている。国交省は、ダムをつくれば観光地となり地域の活性化になるといっているが、そんなことはまずあり得ない。国はデータを出さず、ほとんど水かけ論。いつまでたっても埒があかず、時間がたってしまった。

 八ッ場ダムはアセス法ができるはるか前の古い事業で、アセスも役割を果たしていない。日本のアセスでは、経済性は除外され公害と自然破壊のみ。吾妻渓谷はすばらしい景勝地であったが、すでにそれは破壊されてしまった。アセス法ができたときに、本格的アセスをするべきだったが、アセスの実質適用除外になってしまった。

 パブコメも聞き置かれるだけ。ダムがいいのか、河川改修がいいのか、いろいろな代替案があっていいが、日本のアセスは代替案をもとにやっていない。アメリカの環境アセスは、代替案の検討を義務付けている。日本ではアセスが行われる時期が非常に遅く、工事が進んでしまう。しかしアメリカはそういうことがクリアされている。米国では、スネールダーターという絶滅危惧種の小さな魚が見つかったあと、ほとんど出来ていたダムをやめて魚を守ることを選んだ。日本は、どこまで利権的な世の中なのか。

 日本は異常に公共事業費が多い。1996年時点で、日本の公共事業費はアメリカの3、4倍。その後も日本はずっとダントツで公共事業費の割合が大きい。道路、空港、ダムをつくってきたため。バブルのころは5、60万社の土建業者があった。それがバブル崩壊後もほとんど減らなかった。政治家と官僚が事業をつくりつづけた。

 政、官、業、のほか学、報(マスコミ)が強固なペンタゴン(五角形)をつくっている。原発問題も同じ。学者はとりわけ罪深い。東大が道路系、京大が水系を牛耳ってきた。学者は第三者的に研究するべきだが、日本は原発もダム問題も多くの学者が行政に取り込まれている。研究費をもらい、便宜をはかられ、検討会審議会の委員になる。良心的な人はせいぜい口をつぐむ。

 古くて新しい事業としては諫早干拓事業。あれも造るまえから大きな問題となりアセスもやったが、造られた。堤防の外側では魚介類が激減し、内側では水質がものすごく悪化した。反対してきた人たちが裁判して勝ったにも関わらず、国は今でも水門を開けない。日本という国は、どんなに問題があろうとお金を使おうと、ひとたび行政がやったことは立法も司法も追認してしまう。日本を象徴するような事業ではないか。

 民主党になっても法律改正をせず利権を引き継いでいる。だからといって自民党に戻ればいいというわけではないというところに最大の不幸がある。

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 世界の中でも日本の公共事業費がダントツに多いということを、国民は知っておくべきだろう。根っこは原発問題と何も変わらない。ごく一部の人の金儲けのために必要もない事業が造られ、国民がどれだけ反対しても無視されるシステムができあがっている。その部分が変わらない限り、いくら正論を主張しても簡単に止まらないのが日本の公共事業なのだ。利権構造の根は深い。

2011年4月26日火曜日

津波被災地、福島県いわき市現地調査動画  青山貞一

みなさま

 この4月16~17日、福島県いわき市在住の弁護士でオンブズマン、福島県弁護士会いわき支部の被害救済委員長でもあります広田次男弁護士の依頼でいわきを中心に福島県南部と茨城県北部の津波被災被害の実態を視察してきました。

 この視察では環境総合研究所の環境研究者3名と広田弁護士、坂本弁護士ら環境弁護士4名により、走行距離で0km、約30カ所に及ぶ被災地を2台の乗用車で視察し、被災地住民へのインタビューなどを行いました。

 以下に動画と静止画でそのうち9カ所の被害実態を収録しています。集落全部が壊滅している地域もあります。

◆E-wave Tokyo (Ustream)
 青山貞一、池田こみち、鷹取敦(環境総合研究所)
 津波により壊滅的被害地、いわきの実態視察
  http://www.ustream.tv/recorded/14241236

 なお、4月17日の午後はいわき市で福島原発関連のシンポジウムを地元の弁護士ら30名と一緒に行うとともに、今後、地元弁護士が被害救済を行う上で被災者(住民、漁民、農民ら)に対するインタビュー調査、聞き取り調査を行いました。

 なお、独立系メディア E-wave Tokyo のURLは以下の通りです。

ブログ系:http://eritokyo.jp/independent/aoyama-column1.htmテレビ系:http://eritokyo.jp/independent/today-column-ewave.htm

2011年1月11日火曜日

自宅の書斎にもUstreamの生ビデオ中継スタジオを!  青山貞一


 独立系メディア環境総合研究所の連携による本格的なUstream対応の生放映ビデオスタジオの設置とは別に、私(は)、1月10日夕方から自宅に簡易スタジオ(?)を設置しました。

独立系メディア「生中継ビデオスタジオ」開設のお知らせ! 

 鷹取さんは実験のために一日早く1月9日に自宅に簡易スタジオを設置しています。そして、1月10日夜10時に青山が自宅の書斎から実験放映を開始しました。

 下は、南イタリアのアマルフィ現地調査の後に制作した簡単なビデオクリップを生放映しているところです。


Ustream Producer 画面 顔写真は青山貞一

 下は私が階段から落ち首の骨を折って3週間入院した件での説明。頸椎も動画でした。


stream Producer 画面 顔写真は青山貞一

 上の写真は放映中のUstream Producer(システム)の画像です。高画質のStreamを用いたので、結構、細部まで見えたようです。

 今回の実験は非公開とし、限られた知人にだけ見てもらう形式で行いました。その結果、いつくか大きな課題も発見でき、大変有意義でした。

 今後、研究所に開設する本格的な生ビデオスタジオに向け、さまざまな実験を繰り返す予定です。

 自宅の書斎での実験では、ソフトは無料のものを使ったので、直接使ったお金は、バッファロー社製のWebカメラ(2500円)のみでした!!

 下は書斎に設置したスタジオ(?)。PCの上にあるのがWebカメラ。




好評だったフレンチブルドックのビデオ

2011年1月9日日曜日

独立系メディア「生中継ビデオスタジオ」開設へ!!  青山貞一


独立系メディア「今日のコラム」では、株式会社環境総合研究所 東京本社(東京都品川区、代表取締役所長 青山貞一)の一角に、Ustreamなどのインターネットワークに対応した動画の生中継が可能な本格的なビデオスタジオを開設することになりました。

従来から同研究所の応接会議室を用い既存のメディア取材に対応してきましたが、ビデオスタジオの開設により常時、Ustreamなどのインターネットワークによって国内外に独自の情報発信が可能となります。


Webを見ながらの解説! 
これは静止画ですが、実物は動画となります!


パワーポイントを使った講義! 
これは静止画ですが、実物は動画となります!

これにより、既存メディアに依存することなく、また高額の費用をかけることなく、国国内外への高度な情報発信が随時、時間にとらわれることなく可能となります!

<情報発信の内容>

情報発信の内容としては、当面、環境総合研究所、独立系メディア及び東京都市大学環境情報学部青山研究室の学術研究活動、NPO/NGO活動、オルタナティブメディア・ネットメディア活動に関連した以下の内容とします。

(1)環境総合研究所の調査研究成果の発表、
(2)NPO/NGOを含めたプレスリリース、
(3)独立系メディア主催による要人、時の人インタビュー、
(4)独立系メディア主催によるの対談、
(5)特別講演、講義、
(6)ミニシンポジウム・セミナー、
(7)ミニコンサート
など。

キャスター:青山貞一、池田こみち
技術:鷹取敦

使用言語、日本語を中心に英語など。

<他のシステムとの連動>

生中継はスタジオのみでなく、スカイプなどを用いることにより、国内外を問わず、離れた場所にいるひととの対話、インタビューの生中継を可能とします。

環境総合研究所の各種情報システム、シミュレーションシステム、グーグルの各種地理情報システムと連動した情報発信を行います。

生中継した内容をビデオクリップとし、Ustream、YouTube、Dailymotionなどにアーカイブとしてアップロードします。

<スタジオ設備の概要>

(1)ビデオカメラ(HD,SD、DV対応、2~5台)、
(2)マイク(2~5本)、
(3)ビデオカメラ及びマイクの切り替えセレクター、
(4)音声・音響ミキサー、
(5)スタジオ照明、
(6)インターネットワーク送信設備
(パソコンシステム、Ustream対応ソフト
Ustream Producer Proを使用予定)、 
(7)ビデオ・動画の編集・アーカイブシステム、
(8)スカイプシステム、
(9)音響システム(Bose AWM"Acoustic Wave Music System")、
(10)ビデオ視聴システム(Sony Bravia 32inchなど)
(11)環境総合研究所が開発した各種情報システム
(シミュレーションシステム・解析システム・計測システム)
など。



<番組の事前周知>

独立系メディア「今日のコラム」のホームページを中心に、関連するホームページ、メーリングリスト上で行う予定。 

<スタジオの場所>株式会社 環境総合研究所

株式会社環境総合研究所(東京本社) 住所及び道順


環境総合研究所東京本社(東京都品川区)



最寄り駅は、東急目黒線、東京メトロ南北線、東京都営地下鉄三田線の洗足駅。JR目黒駅から約8分、駅からスタジオまでは徒歩で4分以内。

インタビューなどでスタジオにおいでいただく場合、霞ヶ関・永田町・渋谷・横浜・東京・新宿の各駅からは徒歩を含め25~35分となります。

<スタジオの位置>株式会社 環境総合研究所

下図中、左上の応接会議室の一角



<開始時期>

2011年2月の予定