2008年10月24日金曜日

強権的行政手法で頓挫する静岡空港:開港延期か!?  青山貞一

 静岡県は、空港だけでなく、第二東名など、このご時世に不要・不急の公共事業を環境問題や財政問題を無視して強引している珍しい自治体だ。

 静岡空港についても、石川静岡県知事は、県民に耳をかさず一方的、強権的にハコモノ事業を推進してきた。 当然、裁判が頻発し、当初予測した将来乗降客数も下方修正を繰り返し、さらにその修正値ですら達成が困難となると、県内民間企業の航空貨物など物流分野で体裁をとりつくろうとしている。

 静岡空港の建設に反対してきた住民団体でなくとも、エェー静岡に空港なんているのと、日本中の失笑の的となっている。静岡空港建設事業は今や不要な公共事業の代名詞とさえ、されている。

 地元で「天皇」と揶揄されるように、傲慢で強引な行政手法で知られる石川静岡県知事は、この間、地元住民、県民、その道の専門家が何を言おうと一切、耳を貸さずに、愛知県と東京都の間で巨大な空港を強引に建設してきた。

 以下は、石川知事の強引、強権的な空港建設に抗議し、2007年2月6日、静岡県庁前で焼身自殺を図った井上英作氏の時世の抗議文である。

■石川嘉延に、抗議文 石川嘉延に物申す。

 貴様は、静岡県民の意思に反して静岡空港建設を推し進め、 今は、農民から無理やり、権力を使って土地を取り上げ、又、反対する多くの支援者をも無視して、力ずくで排除し、何の必要も無い、永久に税金を無駄遣いする空港を、 嘘八百を並べ立てて、さも役に立つ空港であるかのように偽装し、県民を騙し、 犯罪者となんら変わらないゼネコンを使い、癒着し、県民に百年の禍強調文根を残すその所業は赦しがたい。よって、我が命を捨ててその悪行を糾弾する。

 静岡県民 井上英作 今、地球は危機的な状況にあり、このような環境破壊に金を使うべきではなく、 間近に迫っている温暖化への対策に金を使うべきなのだ。 地球市民 井上英作  終わり。 

註:石川嘉延氏は静岡県知事(現職)。 

 以下はそれを報ずる毎日新聞の記事である。

◆焼身自殺>静岡県庁前で 空港建設に抗議か
  毎日新聞 
 6日午前3時50分ごろ、静岡市の県庁別館北側の歩道で、「黒い煙と火柱が立っている」と通報があり、消火後、成人男性の焼死体が確認された。近くの原付きバイク前かごから静岡空港建設に反対する知事あての抗議文などが見つかった。死亡したのは静岡市葵区の自営業、井上英作さん(58)で焼身自殺とみて調べている。

  ところで日本とカリフォルニア州の面積はほぼ同じである。その日本には100を超える空港がある。単純平均すれば都道府県ひとつに、2つの空港があることになる。一方、カリフォルニア州にはわずか16しか空港がない。

 新幹線があり、国土幹線自動車道の東名高速があり、しかも第二東名まで作っているのに、なぜ、環境破壊と累積債務が次世代に残る空港がいるのか?

 まともな日本人なら皆首をかしげるだろう。 実は今から 年前、中村敦夫参議院議員(当時)、佐藤謙一郎衆議院議員(当時)はじめ衆参6名の国会議員と私で、現地住民のご案内で静岡空港の建設現場を視察した後、静岡県庁の知事室に出向き、石川知事と1時間ほど議論したことがある。

 公共事業チェック議員の会の会長だった中村議員らが空港建設の見直し請し、同時に土地の強制収用を辞めるよう申し入れたのに対し、石川知事は、「今更、何をしに来たのか」という態度で対応した。 当時、国は自治体からの要望により土地収用法を一部改正し、強制収用がし易くなる改正をしている最中であった。東京都は日の出町の広域最終処分場建設を巡り、静岡県は静岡空港建設を巡り、国の動きに呼応し、法改正を国に強く要望していた。

 静岡空港建設に関連し静岡県は、空港の滑走路の地下を走る新幹線に対し、空港駅を設置するようJR東海に要望していた。当日、私たちはJR東海の幹部に面接し、事情を聞いた。幹部は静岡県には何度となく、空港駅を設置することはできないと伝えたと言明した。

 にもかかわらず、知事との会談で知事はJR東海が空港下に新幹線の駅を新設してくれるかのような発言を繰り返していた。これにはJR東海も仰天していた。 知事と国会議員との会談の模様は上の写真にあるようにテレビ各局によって夕方のテレビのニュースで放映された。

 静岡空港建設用地やその周辺には猛禽類のオオタカの営巣が多数見つかった。通常、それだけで建設は中止となるはずだが、静岡県は数1000万円の調査費を専門からに提供し、オオタカの巣は移設が可能というトンデモ結論を誘導し建設を強行してしまった。

 ..... ところで、来年春に開港になると言う静岡空港で、信じられないことが起きた。何と2500mの滑走路の延長線上にある立ち木が航空法の制限高に抵触し、開港できないというのだ。何と、その立ち木は空港建設に反対する住民(地権者)のものであり、勝手に切ることはできないという。

 以下の毎日新聞の記事を読むと、できあがっている2500mの滑走路を2000mに短縮して暫定使用しようとしているという。もちろん、航空管制関連施設の変更を含む手続が必要となり、そう簡単に済む話しではない。当然、かなりの追加予算が必要となる。

 しかし、これって行政として最低、最悪、無責任きわまりないことでなかろうか?

◆静岡空港:立ち木問題 県会全員協で知事、29日に対応策説明 /静岡毎日新聞

◇滑走路短縮案など浮上
 静岡空港西側の私有地に航空法の高さ制限を超える立ち木が残されている問題について、29日開催の県議会全員協議会で石川嘉延知事が対応策を説明することになった。21日の議会運営委員会で県が表明した。ただ、地権者は立ち木の伐採に難色を示しており、予定通り来年3月開港を実現するため、滑走路の短縮案などで事態の打開を図るのか、知事の決断が注目される。【松久英子、浜中慎哉】

◇地権者、伐採に難色
 9月11日に静岡地裁であった空港事業認定取り消し訴訟で、国・県側が高さ制限を約10メートル超える立ち木が数本残っていることを認め、問題が表面化した。空港は工事が終わった段階で、安全性確認のために国の検査を受けることが義務づけられている。だが、立ち木が残っていると合格しないため、県は当初9月中としていた国への検査申請を、急きょ延期した。11月1日までに申請できなければ、国に出している開港計画を作り直さなければならなくなるため、「来年3月開港」を掲げる県は、がけっぷちに追い込まれている。

 県は9月定例会で、議員からの質問に対し、一貫して「開港に支障のないように努める。詳細については答弁を控えたい」と具体的な方針を打ち出せなかった。さらにこの日の議運に出席した藤原通孝・総務部長も「申請期限が迫っているため、29日の全員協で対応について説明したい。具体的内容は検討中で、詰めた上で当日説明する」と述べるにとどめ、ぎりぎりまで解決策を模索する考えだ。

 立ち木が期限までに伐採できれば問題は解決する。だが、立ち木の所有者は空港建設に反対し、「測量を誤り、立ち木が残ってしまったミスを県が認めることが先決だ」としており、早急な解決は望み薄だ。行政代執行による強制伐採は時間がかかり、間に合わない。

 その上で、有力な解決シナリオの一つとして浮上してきたのは滑走路の短縮案だ。既に長さ2500メートルの滑走路の工事が終わっているが、それを申請では2000メートル程度に短縮し、立ち木があっても違法にならないようにするというアイデアだ。ある県議は「現在就航が決まっている飛行機のサイズなら、滑走路を短くしても離陸に支障は出ない」とする。

 だが、滑走路を短縮すれば、それに伴う航空灯火などの配置変更などの手続きが必要で、開港が遅れる可能性は残る。航空会社側からも「空港の仕様が変更になれば、投入する航空機の種類を変更する可能性もある」(全日空)、「予定通りの計画を期待しているが、変更するのであれば対応を考えなければならない」(日本航空)などの声が上がっており、29日に表明される県側の対応策を注視している。
毎日新聞 2008年10月22日 地方版 

 一方、以下は静岡県知事に対する静岡空港に反対する共有地権者の会の抗議文である。

 それを読むと、県が述べていることと事実は違うようだ。 すなわち、県は立ち木問題を以前から把握していたにもかかわらず、地権者等に対し、何らまともな合意形成をしてこなかった、すなわち誠意ある対応はせず、あいも変わらず強権的な対応をしてきたようだ。

 今になって地権者に泣きついても地権者が分かりましたというわけがない。 何ともお粗末きわまりない。さらに石川静岡県知事は「県が土地の強制収用の対象外としてきた地権者の樹木が伸びた結果」だという。わずか一年足らずで数m立ち木が伸びるわけがない。

 報道ステーションのインタビューにはエヘラエヘラ、何ともお粗末、杜撰、さらに誠意がまったく感じられない行政対応だ。 

 そういえば、中山前国土交通大臣が成田空港建設に関連し、地権者をゴネ得していると発言し、辞任に追い込まれたが、旧自治省出身の知事に対し、開港延期に伴うさらなる税金の不正支出(報道ステーションでは1億円)に関連し住民監査請求、住民訴訟が起こされるのは必至だろう!

2008年9月30日

静岡県知事 石川嘉延殿

空港はいらない静岡県民の会 静岡空港に反対する共有地権者の会

抗 議

 去る9月22日に行われた定例会見において、知事は空港西側の立木問題に関して以下のように事実をゆがめ、県民を欺く発言をした。われわれは、これに厳重に抗議するとともに、発言を撤回するように要求する。

① 知事は、「航空法の高さを越える立木の存在を1年前から把握していた」と述べたが、われわれはそれ以前から制限を越える立木及び土石の存在を指摘し続けていた。にもかかわらず、県は言を左右にしてその存在に対する認否をこの9月の時点に至るまで行わなかったのである。

② したがって、知事の「地権者との話し合いを続けてきた」との釈明が全くの虚偽であることは明らかである。

③ また、問題が発生した原因は、「07年3月までの段階から木が成長して伸びた」からだという抗弁は、苦し紛れにも程があると言うしかない。わずか1年余で数メートルも伸びるものだろうか。

 以上のように、知事の発言は事実に反し、県民に対する説明責任を放棄したものである。開港を不可能にするほどの問題を生起させた原因は、あげて県の空港建設事業自体、なかんずく、ずさんな測量をもって強権的に収用を急いだところにある。

 知事は自らの責任を地権者や反対運動の側に転嫁することなく、この失態を認めて県民に謝罪すべきである。この空港建設は不要・不急の事業の最たるものである。われわれはあくまでも県民の利益となるような県政の実現のために、知事が誠実に県民に説明し、県民と話し合うことを求めてやまない。

 以下は上記の抗議を報ずる産経新聞の記事である。

◆空港の立ち木問題で抗議

 静岡空港反対の市民団体2008年10月1日8時25分配信 産経新聞 静岡空港西側の私有地に航空法の規制を超える高さの立ち木が数十本ある問題で30日、空港に反対する市民団体が静岡県庁を訪れ、石川嘉延知事にあてた抗議文を提出した。

 文書は「空港はいらない静岡県民の会」(吉本健一代表)「静岡空港に反対する共有地権者の会」(芳賀直哉代表)の連名。石川知事が22日の定例会見で立ち木の存在を「約1年前に把握していた」「これまでも(地権者側と)話し合いをしてきた」などと述べたことなどについて「事実をゆがめ、県民を欺く発言」とし、県民への謝罪と発言の撤回を求めている。

 立ち木は、滑走路の西側約1400メートルにある反対派住民の所有地内にあり、開港手続きに遅れが出る可能性もある。

2008年10月17日金曜日

原油価格大幅続落もガソリン価格は依然高値 ④業界の情報操作!?  青山貞一

2008年10月16日、以下の記事が毎日新聞から出た。石油情報センターからのガソリン小売価格として、レギュラーガソリンの全国価格が前週6日比で3.1円安、1リットル161.6円とされている。

 まず、現在の全国平均価格が161.6円というのは、高すぎるのではないか?

 私の論考でいつも参考にしているガソリン価格比較サイトによれば、10月16日時点の全国平均価格は、155.7円である。

 両者の差は1リットル当たり5.9円もある。石油情報センターの場合、ここのガソリンスタンドの固有名詞がまったく公表されていないので、データの信憑性は低い。 ガソリン価格比較サイトでは、都道府県別のサンプリング数を公表するだけでなく、個々のガソリンスタンドを都道府県別に写真入りで公開している。 石油情報センターは、データの詳細を明らかにすべきである。

 いずれにぜよ、10月10日時点でガソリン価格は昨年の10月並みに大幅下落していることからすると、現在のレギュラー1リットルの価格が全国平均で161.6円というのは、高すぎるか、すなわち個々のガソリンスタンドが談合したり、カルテル化して高値につり上げているか、情報センターが敢えて高値としている、すなわち情報操作することで、個々のガソリンスタンドが高値としているのを側面から支援しているのではないか?と思われても仕方ない。

 次の問題は以下の記事にあるように、現在、先物原油は1バーレル当たりピーク時(147ドル程度)の半分に下落している。1バーレル当たり70ドル台まで下がっている。

 とすれば、レギュラーガソリンは昨年の実勢価格からして1リットル当たり140~145円程度でなければならい。 記事では今年の5月以来の1リットル当たり150円台に値下がり...と書いている。実体としては、1バーレル当たり70~80ドルの場合のガソリン価格は140~145円であるはずだ。

 いずれにせよ、業界は先物原油価格が上がるとすぐにガソリン価格を上げるのに、下がった場合には、遅々としてガソリン価格が下げていないのが実体である。 一体、新聞記者は自分で過去の原油価格とガソリン価格の比率などを調査して上で、以下のような記事を書いているのか??である。 

 おそらく石油情報センターからの情報を鵜呑みにして垂れ流しているだけではないのだろうか? 

◆ガソリン価格:6日比で3.1円安 10週連続下落

 石油情報センターが16日発表したガソリンの小売価格調査(14日現在)によると、レギュラーガソリンの全国平均価格は前週6日比3.1円安の1リットル=161.6円と10週連続で下落した。原油価格の低迷を反映し、各地のガソリンスタンドで値下げの動きが広がっている。 米国の原油先物相場は10月に入り、ピーク時のほぼ半分の1バレル=70ドル台に下落した。「ガソリン価格は今年5月以来の1リットル=150円台に値下がりするのが確実」(元売り大手)との見方が強い。
【谷川貴史】毎日新聞 2008年10月16日 20時04分

2008年10月12日日曜日

三浦和義氏追悼:~500件超の本人訴訟~        青山貞一

 三浦和義氏がサイパンからグアム、ハワイ経由で移送されたロスの拘置所で自殺したというニュースが10月11日の夕方入ってきた。私はちょうど、冤罪問題を追及しているグループから「三浦和義氏の長期拘留・逮捕状有効決定に抗議する声明」を「独立系メディア」にアップロードしている最中のことであった。

 その三浦和義氏は、東京拘置所のなかから、名誉毀損裁判を本人訴訟で、それも500件を超す訴訟を起こした。時効などを除けば、勝訴率は8割以上とされている。 私は大学の法律の授業のなかで三浦和義氏が行ったこの本人訴訟について訴訟実務を含め必ず触れている。そして学生達に自分の権利が不法に侵害されたら、泣き寝入りすることなく、本人訴訟で対応しようと教えている。

 その三浦和義氏は、「人権と報道 連絡会」での講演で本人訴訟について次のように述べている。

 「1985年9月に逮摘された後、『こんなでたらめな報道にあっていったいどうすればよいのか』とく本当に悩みました。そのまま放置すれば、報道が事実として皆さんの胸に残ってしまう。 あれだけの報道の中で、そう思わない人は逆におかしい。拘置所に面会に来てくださった人権と報道・連絡会の方の中に支『最初は三浦さんを犯人と思っていた』と言う方がいました。それが当時の報道に接Lた人のごく自然な受けとめ方だと思います。

 私は悩んだあげく、『報道は事実ではない』とはっきり言つために、朝日新聞はじめ多くの新聞社に抗議をした。しかし、半分以上は返事ももらえない。返ってきても『当社としては信じるに足りる取材・報道をした』で終わりです。

 私は一個人です。しかし新聞社は何億という資本金を持った大会社です。1対1になるにはどうすればいいのか。結局民事訴訟を起こして、法廷に彼らを引き出し、裁判所にどちらが正しいか判断してもξつしかない、そう考えて、初めて訴状を書いたわけです。 訴状は『本人訴訟はこうすればできる』という本を参考に書き、そうしてこれまでに486件の訴状を出して争ってきました。

 当時、私がいちばん悩んだのは、日本には報道被害を訴えていく第三者機関がない、ということでした。報道やメディアに対して警告を出してくれるような機関がない、最近、テレビ界にはBROに関ずる委員会機構ができましたが、その第一回の判定をみると、やはりメディア寄りの印象があります。そういう不満は今でもあります。

 結局個人がメディアと闘って、ごく当たり前に誤りを正させるには民事訴訟を一人で起こすしかない、なぜ一人でかというと、日本の民事訴訟の判決は、勝訴して良いいところ100万円。 弁護土を立てれば、その謝礼などでほとんど消えてしまって、1割り残ればいい方。それが今の判決状況です。それで、本人訴訟でやり始めたわけです。本人訴訟はどれぐらいでできるか。仮に300万円の損害賠償を請求する訴訟を起こした場合、印紙代は2万4600円、一それに予納郵券などを入れても3万少し。あとは、ボールペンー本と若干の努力さえあれば、だれにでもできるのです。

 ....中略.... 

私が起こした訴訟について、マスコミで流れている[勝率は6割」というのはトリックです。私の敗訴の半分以上は、時効による門前払いで、私は負けたとは思っていません。

 ....中略....

 報道被害にあったら、どんどん訴訟を起こしたらいい、私はそう言ってきましたし、現に名古屋、大阪、東京拘置所で3人の方が30件以上の訴訟を起こし、何件かは勝訴もしています。拘置所にいる間はほとんどできませんでしたが、これからは彼らに私の民事訴訟の訴状、準備書面、判決などのコピーを送って、どんどん訴訟を起こしてほしいと思っています。

出典:「人権と報道 連絡会ニュース」より

2008年10月11日土曜日

三浦和義氏の長期拘留・逮捕状有効決定に抗議する声明  三浦和義氏の逮捕に怒る市民の会

(注)本声明を「独立系メディア」のWebに掲載中に、三浦和義氏がロサンゼルスで自殺したとのニュースが飛び込んできた。ご冥福をお祈りするとともに、以下の声明にあるように日米両国による人権侵害に強く抗議するものであります。

 米国ロサンゼルス捜査当局は米国自治領サイパンで2月以来、7か月余にわたって不当に身柄を拘束してきた三浦和義氏を本日、ロスに移送した。

 私たちは、日本の最高裁で無罪が確定した三浦氏に対する米国捜査当局による長期拘束を重大な人権侵害として抗議してきた。

 しかし、サイパン・ロスの裁判所は拘束を正当化する決定を出し、三浦氏はロス移送を受け入れざるを得なくなった。三浦氏は、ロスで徹底的に闘う決意を新たにしているが、今回の移送は不当拘束をさらに長期化するものであり、あらためて強く抗議する。

 三浦氏は2月以来、サイパンで身柄釈放を求めて人身保護請求を行う一方、ロスにおいては逮捕状無効を申し立て、その取り消しを求めてきた。これに対してサイパン地裁・最高裁は請求を棄却。ロス郡地裁は9月26日、逮捕状の一部を有効とする決定を出した。

 ロス郡地裁決定は、逮捕状記載の被疑事実である「殺人」「殺人共謀」のうち、殺人については「日本で判決が出ており『二重の危険』に当たるため無効」としたが、殺人共謀については「日本の刑法には共謀罪に当たる規定がなく、日本の共謀共同正犯とは構成要件が異なるため共謀罪に『二重の危険』は適用されず、その訴追は有効」とした。

 だが、逮捕状で挙げられた共謀を推定させる行為は、日本の検察当局が三浦氏を「殺人の共謀共同正犯」として起訴した際に挙げた「事実」や公判で主張した「共謀行為」に含まれている。

 その「共謀の事実」が存在しなかったことを日本の裁判所は認めて、「共謀共同正犯による殺人」という検察主張を退け、無罪が確定したのである。 ロス郡地裁決定は、「日本では、共謀罪では裁かれていない」と極めて形式的な判断で、事件の実体というべき殺人罪で無実が立証された三浦氏を「二重の危険」にさらした。

 もともとこの事件は、メディアの「疑惑報道」に煽られた日米捜査当局が緊密に協力し、情報交換したうえで、米国側の逮捕状記載事実(共謀を推定させる行為)も含めて、日本で起訴することで合意したものである。

 その「日米合作」というべき起訴事実が日本の裁判所で認められなかったからといって、「今度は米国で、別の法律で」というのは、まさに「一事不再理」の原則に反する不当な人権侵害である。

 起訴された人の99・9%が有罪になる日本の裁判で無罪が確定した事実こそ、三浦氏の起訴がいかに根拠のないものであったかを示している。日本政府は、最高裁が下した判断を無視・否定する米国による身柄拘束に抗議すべき立場にある。

 最高裁も、この暴挙に抗議すべきである。まして、日本の捜査当局が米捜査当局に再度「捜査協力」するなど、自国の司法判断を軽視し、ないがしろにする行為と言わざるを得ない。

 私たちは、米国捜査当局の不当なロス移送に強く抗議し、直ちに三浦氏の身柄を釈放するよう要求する。また、日本政府が米国政府に三浦氏の釈放を求め、早期帰国に向けて自国民保護の義務を果たすことを強く要請する。 また、日米のマスメディアに対して、日本における確定無罪判決の内容を詳細に広く伝え、三浦氏に対する人権侵害を一刻も早く止めさせるために、ジャーナリズムとしての本来の役割を発揮されることを期待する。

http://www.jca.apc.org/free-miura/ 
電子メール free-miura@jca.apc.org
連絡先:電話090-6175-3405
「三浦和義氏の逮捕に怒る市民の会」事務局

これって露骨な選挙対策? わずか一年だけの高速道路料金半額   青山貞一

 民主党の高速道路無料化政策をボロクソ誹謗中傷してきた自民党だが、この1年間に限り、高速道路の夜間割引を10月14日から来年の9月30日まで5割引にすると発表した。

 首相の最大任期が来年の9月までだから、それまでには必ず総選挙がある。まさにこれって選挙対策ではないのか? この1年間だけ。しかもETC車だけというのもふざけている。

 これは露骨な選挙対策だ。実に国民を馬鹿にした話しである! それにしても、大マスコミは政府の広報機関となっている。

 ただ以下のような記事を垂れ流すだけは広報機関にすぎない。なぜ、批判をしないのか?

■高速道夜間割引、14日から5割引に■

 政府がまとめた緊急経済対策の目玉のひとつである高速道路料金の夜間割引が、今月14日から5割引に拡大されることになりました。

 値引きされるのは今月14日から来年9月30日までの1年間、ETC=料金自動収受システムを搭載して、全国の高速道路を利用する車両を対象に実施されます。

 平日の午前0時から4時までこれまで4割引きだった料金を5割引に拡大するほか、土日・祝日の午前9時から夕方5時の昼間の時間帯も、東京・大阪近郊を除いて5割引にします。

 これにより、東京から大阪まで夜間、普通自動車で移動する場合、通常1万650円の高速料金が5350円となります。

 今回の割引で予想される減収は1026億円にのぼりますが、緊急経済対策として全額国費で負担するため、高速道路各社が45年かけておよそ40兆円の債務を返済する償還計画に変更はありません。(JNN 2008年10月10日16:59)

2008年10月4日土曜日

神奈川県の禁煙条例を支持する! 青山貞一



 日本は先進国の中で一番喫煙者の割合が多い。男性の割合は減ってきたとは言え依然として先進諸国でダントツ、一番高い。他方、女性は20歳代など若い層を中心に喫煙率が増加している。

 喫煙問題で世界各国に勧告している世界保健機関(WHO)によれば、副流煙による影響が主流煙のそれよりも3倍も多いとしている。

 WHOは日本では毎年9万人以上が直接、間接的な喫煙の影響で死亡しているとしている。さらに喫煙に起因する肺ガンなどの疾病に関連する医療費も莫大なもの(額)となっているのはいうまでもない。

 医療費、健康保険制度の財政が一段と厳しくなっている折、国、自治体はまずは禁煙をあらゆる場所で徹底すべく尽力すべきである! 禁煙政策、施策を徹底せず、税制を増やすために価格だけを上げるのはおかしい。  いうまでもなく主流煙はもとより、副流煙には多環芳香族炭化水素(PAH)など発ガン物質が多数含まれている。

 いわゆる受動喫煙、すなわちタバコを吸わないひとへの喫煙の影響が吸っている人よりも大きいことから、健康増進法の第25条で受動喫煙の有害性が明確にされ、公共的な空間での喫煙を禁止する規定が盛り込まれた。

 具体的には健康増進法第25条において受動喫煙とは「室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされること」と定義され、同時に「学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない」こととされた。

 しかしながら、同法には何ら罰則がなく、せいぜい自治体が条例により禁煙地域を指定するなどの措置により駅前など部分的に禁煙ゾーンが指定されている。しかし、これらは全地域から見ればごく一部の地域である。

 そんななか、神奈川県の松沢知事は、以下の神奈川県公共的施設における禁煙条例(仮称)の制定に力を入れている。

 神奈川県では、受動喫煙の防止に向けた取組みをさらに進め、受動喫煙から県民の健康を守るため、「神奈川県公共的施設における禁煙条例(仮称)」の制定を検討しています。

 これまでに、受動喫煙に関する県民意識調査、施設調査の実施や、ふれあいミーティングや施設管理者等との意見交換を通じてさまざまな意見をいただくとともに、医療や法律の専門家等から構成される「神奈川県公共的施設における禁煙条例(仮称)検討委員会」を設置し、専門的な見地から条例の内容について検討いただいているところです。

 このたび、検討委員会での議論や県民・事業者からの意見等を踏まえ、別紙のとおり、条例についての基本的考え方[案]を作成し、第4回検討委員会においてご検討いただくこととしました。

 神奈川県条例の骨子案で「分煙」は次の条件となっている。

 ①喫煙区域と非喫煙区域とを仕切り等で分離する
 ②喫煙区域にたばこの煙が拡散する前に吸引して屋外に排出する
   ための屋外排気設備(換気扇等)を設ける 
 ③非喫煙区域から喫煙区域に向かう空気の流れ(0.2m/s以上)が
   生じるようにする

 この骨子暗に関連してつい最近、NHKのテレビで神奈川県の禁煙条例制定をめぐって、神奈川県と飲食店や宿屋・ホテル、パチンコ店などの経営者と議論している番組を見た。その番組では大部分の時間が飲食店や宿屋・ホテルなどの経営者が、もしこの条例が制定されると営業がつづけられなくなるなど、条例の制定がもたらす経済的影響に費やされていた。

 確かに小規模事業者の場合、県が想定している分煙措置を達成するための空間や資金がないため、結果として廃業に追い込まれる可能性がないとは言えない。

 しかし、健康増進法第25条の対象施設としてに規定されている、学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他多数の者が利用する施設を管理する者のうち、施設の規模が小規模であるからといって、いつまでも禁煙どころか、苦肉の策である分煙措置に協力しないことは、由々しき問題である。

 なぜなら応用物理学的にいえば規模が小さく容積の小さな施設であればあるほど、施設内部で喫煙する者がいると、内部にいる者全体が高濃度の煙を吸わされるからである。その典型例が自動車の車内である。

 私の大学の研究室(青山ゼミ)には、毎年、デジタル粉塵計を用いて喫煙による影響を測定した上で卒業研究を書いている学生がいるが、彼女は今年は乗用車内でタバコを吸った場合の車内濃度をあらゆる角度から測定している。

 車内の大きさ、窓を開閉した、車速の違いなどによって車内濃度がどう変わるかなどを、実測値をもとに評価している。それをみると、やはり閉じられた狭い空間でタバコを吸うと、信じられないほどの高濃度となることが分かる。

 私たちはボストンで開催された国際ダイオキシン会議に喫煙によるダイオキシン摂取リスクに関する英論文をだした。17カ国の研究者から様々な質問や資料要求が寄せられた。この研究では、日本と米国で売られているタバコの煙に含まれるダイオキシン類の量を定量的に推定するものであり、ケント1mgが一番量が多いことも分かった。

 ところで、健康増進法の第25条の規定について言及すれば、同法の同条項に「罰則がない」ことを強調する者が多い。

 だが、それはあくまでも健康増進法なる行政法のなかに罰則がないだけであって、もし、継続的に受動喫煙の被害を受けているひとが喫煙者相手に民事で損害賠償訴訟、すなわち不法行為として喫煙者を訴えた場合、損害額の大小を別とすれば、喫煙者が敗訴する可能性が大である。

 となると、小規模であることを理由に、神奈川県の条例制定に反対するのはいかがなものか? テレビでは、禁煙にすると神奈川県内の旅館から他の県の旅館に客が逃げるといっている。もちろんそう言う客もいるだろうが、私見では完全禁煙であることで宿泊する客もいるだろう。

 いずれにせよ、発ガン性が明確となっている喫煙、しかも早期発見でも、その後10年間生きられる確率が約20%しかない、すなわちひとたび肺ガンになると治る可能性が低いのだ。

 その肺ガンの主原因である喫煙について、こともあろうか飲食店や旅館の経営者が、単に営業、すなわち営利だけの観点で禁煙条例に反対するのは不見識きわまりないと思えるがどうだろうか? 職業の自由、営業の自由の曲解であるとさえ思える。

 ちなみにタクシーはすでに完全禁煙化の方向に向かいつつある。

 なお、私が知事の政策顧問でいた長野県では、田中康夫氏在任中、県庁施設はすべて完全禁煙としていた。長野新幹線は全国に先駆けて全車両全面禁煙となった。ただし、県庁の全面禁煙は条例によるものではないため、知事退官後、村井知事は副知事等が喫煙者であったことから敷地内全面禁煙を廃止してしまった。

 これについては、「これまでの禁煙政策を踏みにじるものでしかない」として日本禁煙学会から以下のような声明が知事、副知事等に送られている。

 最近になって、日本学術会議は、「脱タバコ社会の実現に向けて」という要望を全国の大学に勧告している。

 と言うことで、「営業の自由」と「人間の生命」を比較考量するまでもなく、喫煙による影響、被害は甚大であり、神奈川県の試みは支持されるべきである。。これは先進諸国の状況を見れば一目瞭然である。

 神奈川県(知事)は、ぜひとも禁煙条例を全国に先駆け自信をもって制定してほしい。それが世界の大きな流れ、メインストリームである!

2008年10月2日木曜日

永久保存版、麻生太郎失言集! 青山貞一


 ここでは、麻生太郎総理の過去における失言あるいは問題発言を以下に列記したい。年代順に掲載している。

 麻生氏の失言の多くは、単なる品格の欠如、下品というだけではない。また皮肉やウィットなどとして片付けられるもの者ではなく、差別意識、社会経済弱者蔑視、歴史認識の誤りなどに根ざしているものと思える。 

 以下は、麻生総理の過去の失言集  出典は主にWikipedia。
  • 衆議院選挙に初出馬した1979年の演説で登壇して開口一番、支援者に対して「下々の皆さん」と発言したことは語り草となっている。また、当選後に「将来の総理大臣」というマスコミに対して「年寄り代議士が何人か死ねばね」と応えている。
  • 1983年2月9日、高知県議選の応援演説にて「東京で美濃部革新都政が誕生したのは婦人が美濃部スマイルに投票したのであって、婦人に参政権を与えたのが最大の失敗だった」と、国が女性に参政権を与えている事を批判した。
  • 2003年10月20日にホームレスについて、「新宿のホームレスも警察が補導して新宿区役所が経営している収容所に入れたら、『ここは飯がまずい』と言って出て行く。豊かな時代なんだって。ホームレスも糖尿病という時代ですから」と発言し、事実に反する上に差別的であるとして各地の日雇い労働者および野宿者支援組織などから抗議を受けたが、翌日の会見で改めて趣旨を説明したものの撤回等はしていない。
  • 総務大臣在任中の2005年10月15日、この日に開館した九州国立博物館の開館記念式典での来賓祝辞の中で「一文化、一文明、一民族、一言語の国は日本のほかにはない」と発言。同博物館は選挙区は異なるものの麻生の地元である福岡県内にあり、しかもその展示内容は日本とアジアの交流の歴史から、文化の多様性を示すものである。
  • 2006年1月9日、福岡県飯塚市で開いた集会で、シドニーで予定されていた日米豪閣僚級安全保障対話が延期されたことに関連し「シャロン首相の容態が極めて悪く、会議途中でそのままお葬式になると意味がないので延期ということになった」と述べ、配慮を欠くとの批判を浴びた。
  • 2006年7月8日に広島市内で行なった講演で、北朝鮮がミサイルを撃ち、主要国が重大な関心を持ったことについて、「金正日に感謝しないといけないな」と発言した。もっとも、これは金正日に対する痛烈な皮肉であり(そもそも本心から感謝しているわけではない)、さして大きな問題にはならなかった。
  • 2007年7月19日、富山県高岡市内で講演会において、国内外の米価を比較する例えとして「7万8000円と1万6000円はどちらが高いか。アルツハイマーの人でもわかる」と発言。これについては野党からの反発はもちろん、与党からも参院選に悪影響だと懸念され、塩崎恭久内閣官房長官からも「適格性を欠く」と批判された。翌7月20日に謝罪した上、撤回した。
  • 2007年7月20日、アルツハイマー発言の翌日に鳥取県倉吉市での演説で「酒は『きちがい水』だとか何とか皆言うもんだから、勢いとかいろんなことありますよ」と発言した。
  • 2008年2月、中国製冷凍餃子中毒事件に関連し熊本市での講演で、「日本の農産物に付加価値がついた」「(日本の)農産物、高いけど、うまい、きれい、加えて安全、3つきたんじゃないの? 農協は中国に感謝しないといけない。ものすごく付加価値がついた」と発言した。
  • 2008年8月4日、福田改造内閣組閣後に江田五月参議院議長と会談した際、民主党を批判した上で「ナチス・ドイツも『1回(政権運営を)やらせろ』と言ってああなったこともある」と発言したところ、民主党関係者から猛抗議を受けた(民主党をナチス扱いしたわけではない)。
  • 2008年9月、『(認証式のために)陛下の日程をあけておけ』と首相でない麻生が宮内庁に指示を出した。
  • 2008年9月14日、JR名古屋駅前での自民党総裁選候補としての街頭演説の中で、前月に岡崎市など愛知県内で3人の死者を出した平成20年8月末豪雨に関して、「岡崎の豪雨は1時間に140ミリだった。安城や岡崎だったからいいけど、名古屋で同じことが起きたら、この辺全部洪水よ」と被災地域を軽視した発言を行った。これに対し岡崎・安城の両市と岡崎市議会は麻生側に抗議文を郵送。同17日、麻生側は「不用意な発言で不快な思いをさせたことをお詫びし、復旧についてできる限りのことをする」との趣旨の謝罪文を、岡崎・安城の両市に送付した。