2008年12月28日日曜日

横浜事件再審決定と大島隆明裁判長   青山貞一

 今日(2008年12月28日)のテレビ朝日サンデープロジェクト後半の特番の事例、すなわち布川事件、横浜事件のうち、横浜事件に対する度重なる再審請求が却下されるなか、今年10月31日、第四次再審をが定された。決定したのは、横浜地裁の大島隆明裁判長であった。

 大島隆明裁判長という名前を聞いて、すぐにぴーんと来た。 横浜地方裁判所の大島裁判長は、昨年春から夏にかけ、すんでのところで冤罪となりかかった私の大学の中国からの留学生(大学院生)、K君事件で初審無罪判決を出したあの大島裁判長だったからだ。 

横浜地検、東京高検が控訴を断念したあのK君事件を担当した裁判長である。

 大島隆明裁判官は、横浜地方裁判所第二刑事部の裁判官である。

私は都合8回、横浜地裁で開かれたK君の公判すべてを傍聴していましたが、あの大島裁判長ならまったく開かずの扉だった横浜事件の再審請求を決める、しかも裁判所自身が証拠を焼却処分したことへの反省を含め決めるひとであると率直に感じた。

 K君はその後、私が修士論文の指導を行いこの春、無事卒業、就職しています。一旦、検察側が起訴し、公判に持ち込んだ刑事事件を初審敗訴で控訴しない事例は、5000件に1件などきわめて異例であることはいうまでもありませんが、その背後には、大島さんのようなまっとうな判事の存在があったことは見過ごせない。

 本件に関しては、以下のブログもある。
◆横浜事件再審開始決定/戦い続けた22年、裁判官の勇気に敬意- 

また大島裁判長の判断に関しては、以下のブログもある。
◆司法(裁判所)の正義 

以下はWikipediaによる横浜事件の概要説明。

■横浜事件

 第二次世界大戦中の1942-1945年におきた言論弾圧事件のことである。
 1942年、雑誌『改造』に掲載された論文が問題になり、執筆者が治安維持法違反で検挙された。これを発端に編集者、新聞記者ら約60人が神奈川県警察特別高等警察課によって逮捕された。横浜地裁は敗戦から治安維持法廃止までの期間に約30人に有罪判決を下し、4人の獄死者を出した。

 戦後、無実を訴える元被告人やその家族・支援者らが再審請求を繰り返し、2005年に再審が開始されることになったが、最終的に罪の有無を判断せず裁判を打ち切る免訴が確定した(後述)。なお、別の遺族が2002年3月に申し立てた第4次再審請求について、2008年10月31日、開始される事が決定した。

以下は、K君事件の関連ブログ

◆身代わり教唆、無罪判決~事実の証明がない:横浜地裁

◆青山貞一:神奈川県警+横浜地検共作による留学生准冤罪事件①

◆青山貞一:神奈川県警+横浜地検共作による留学生准冤罪事件②

◆青山貞一:冤罪を生み出す構造(9) 中国人留学生に無罪判決

2008年12月14日日曜日

トヨタ、日本で大量解雇、米国で解雇なしの奇っ怪!?  青山貞一

 トヨタは、金融危機以降の減益でも、実に6000億円もの黒字を見込んでいる。

 他方、来年3月までに期間従業員を約6000人(10月末現在)から3000人に半減する方針という。さらに来年3月までに7800人を削減する計画もあるという。

 減益とはいえ、6000億円もの黒字を見込んでいるのに数1000人規模の雇用削減はいかがなものであろうか?

 そんななか、12月13日、米国のCNNが慣習的に解雇による人員削減を行わないアメリカの企業について報道していた。

 そのなかに、北米トヨタの名前があった。北米トヨタでは従業員は解雇せず、生産調整のために余剰になった人員には職業訓練プログラムを受けていてもらうとのことだった。

 アメリカで解雇しないで、日本で解雇するというのは、「生き残るため」というトヨタ経営陣の道理が通らない。

 おまけに、トヨタには15兆円も余剰金があるという。増益していたのに 納税額減をえたらしい。

 していることがことごとくおかしい。明らかにおかしい。まして今回の日本での首切りは明らか道理が通っていない。

 トヨタは説明責任を果たすべきだ!

2008年12月9日火曜日

自民党幹事長のホンネ?  青山貞一

 小泉政権のあと、まったく正当性も正統性もない安倍、福田、麻生と毎年毎年内閣が替わったが、ついに麻生内閣の支持率が各社平均で21%と断末魔状態に入った!

 解散総選挙かあの手この手で逃げ回っている麻生総理だが、もうあとはない。

 ところで過日、自民党の細田幹事長を囲んで旧官房長官の番記者らで幹事長就任のお祝いをやったそうだ。

 その席で、細田史幹事長は、何と何と、最近出版されたばかりの「民主党」という表題の新書を参加者に配りながら、「もう政権交代だから、君らも民主党研究をしておきたまえ」と言っていたそうだ。

 ※新潮新書、伊藤惇夫著、民主党

 さすがにこの会合は、オフレコとなっていたため、一切どこのメディアにも掲載されていない。

 ウソのような話しだが、間違いなく本当の話しである!

  KYの極致で裸の王様状態の麻生太郎総理は、上記の事実を知っているのだろうか?

  家臣中の家臣であるはずの幹事長が自民党の時代は終わると言明したことを! 

  半世紀続いた自民党の実質独裁政権も、やっと終わりを迎える時が近づいた.......

2008年11月15日土曜日

末期的症状呈する麻生政権 ①政策より政局そのものの定額給付金  青山貞一

末期的症状呈する麻生内閣 ①政策より政局そのものの定額給付金 青山貞一

 朝令暮改、ブレまくる麻生太郎内閣が、案の定、迷走に次ぐ迷走から、ここに来て末期的症状を呈している。 

 民主党のしていることをさんざん「政策より政局」と誹謗・中傷し、自らは「政局より政策」と、ことある度に言い続けてきたのが麻生総理だ。

 しかし、麻生総理ががしていることは一から十まで、まさに「政策より政局」、さらに言えば選挙対策的愚作である。しかも、後述するように、その愚作のために巨額の公金、税金を使っている。

 とりわけ酷いのが「定額給付金」問題だ。麻生総理は、当初一律に給付と明言しながら、二転三転、閣内はもとより自民党の有力代議士からも批判が頻発し、挙げ句の果ては自治体に丸投げとなった。

 当然のこととして自治体側は大迷惑だ。どの首長も単なる迷惑であることを超え、怒っている。

 そもそも、まさに公職選挙法違反すれすれの政権による金ばらまき選挙対策と言っても過言でない2兆円ものバラマキを経済対策、不況対策の目玉として提案したのは、麻生総理自身であった。にもかかわらず、高所得者には給付しないとか、高額所得者には自主的に辞退してもらうとか、1800万円以上には給付しないなど、迷走に次ぐ迷走となった。

 挙げ句の果ては、給付の窓口となる自治体が自ら給付方式を決めて欲しいということになったのだ。 

 そもそも安倍、福田と一年ぽっきりで政権を投げ出した自民・公明の政権が選挙管理内閣として苦肉の策として、出来レースそのもので選んだのが麻生太郎内閣だ。当人は「文藝春秋」で臨時国会冒頭解散を宣言していた。

 にもかかわらず、自民党本部が行っている総選挙結果を予想する調査で民主党に負けていることが次々に分かるや、まさに「政局より政策」として、金融危機や株価下落など経済対策を優先するとして、次々に総選挙を先送りしてきた。

 何のことはない、麻生総理そのものが、いかに「政策より政局」に邁進し、保身的に総選挙を先送りしてきたのだ。 その結果、政権政党はこの間、愚作のアホ丸出しの「定額給付金」問題で迷走するだけでなく、自治体を含め膨大な時間を浪費してきた。

 何と言っても首相始め閣僚、首長など高額所得者がこの間、自民党の選挙対策のために公金、税金を使うという前代未聞のトンデモ策に膨大な時間を費やしてきたのである。

 当然、自治体の首長、関係者を含めれば数1000人に及ぶ高額所得者が、「定額給付金」問題をどうするかについて時間を費やしてきたのだから、そのための社会的費用は膨大である。

 ここで社会的費用を簡単にシミュレーションしてみよう!

 仮に首相、内閣、代議士、首長、副知事、助役など全国で約4000人の高額所得者が5日間にわたり「定額給付金」問題に腐心してきたとすれば、1日の歳費、報酬を平均7万円として、4000人×7万円×5日間=14億円となる。ただしここでは首相から助役までの1日当たりの平均給与を年収から逆算し7万円とした。

 さらに今後、給付の窓口とされる自治体がこの愚作を具体的に実施するとなると、一市町村で平均100人の職員が1週間係わることとなれば、職員一人の一日の平均給与を2万円とし、1800市町村×10カ所×30人×7日×2万円=756億円となる。 ※一説による政府は給付のための各種経費を1000億円  を超えない範囲と、すでに巨額の経費がかかることを認め  ているようだ。

 これらは言うまでもなく血税から支払われることになるから、公職選挙法違反すれすれの自民・公明による「選挙対策のバラマキ」(鳥越俊太郎氏、14日の報道ステーションでの発言)のために国、地方の税品が数100億円支払われることになりかねないのだ!

 もし、自治体がいくら迷惑がっても、この愚作を実施すれば、地方自治法の監査請求、住民訴訟が頻発する恐れがある。いうまでもなく監査請求、住民訴訟は、公金の不正、不当な使用に対する訴訟だ! しかも、麻生総理の思いつきではじまったこの「定額給付金」愚作は、結果的に自民・公明の選挙対策になるどころか、麻生政権の内閣支持率をさらに下げさせ、かつ有権者の自民党離れを加速化させることになっている。

 事実、各新聞社などの世論調査によれば、「定額給付金」問題に限らず、朝令暮改でブレまくる麻生政権への支持率は、当初から安倍、福田政権より低かったが、ここに来てさらに下がり、自民党への支持率も民主党より低くなっている。

 すなわち、有権者、国民は、仮に10000円なり12000円をもらったとしても、それはそれ、決して自民・公明に買収されないことが明白になってきたのである。

 その重要な理由は、いうまでもない単に「定額給付金」問題が迷走しているからだけではない。3年後に消費税を上げると麻生総理が明言したことにある。 麻生総理はこれについても、相変わらず前言を覆すような発言をしているが、国民は小泉を含め4代続いている世襲で世間知らずな内閣の言うことにヘキヘキとしている。国民は、衣の下に鎧を見ているのだ。

 いうまでもなく2兆円があれば、もっともっと有意義に使う政策、施策は腐るほどあるはずだ。

 ところで、この「定額給付金」問題の極めつけとして、総務省は、「定額給付金」を装う振り込め詐欺に注意をという注意乾期を始めたという。まさに笑止千万だ。

 「政局より政策」としてはじまった自民・公明の国費を選挙対策に使うような対策が、振り込め詐欺の一因となるとして、総務省が警告を出したというのだから何をかいわんやである。 いずれにせよ、与党に甘く、野党に厳しい日本の大マスコミも、さすがにこの「政策より政局」そのものの定額給付金問題には、一斉に「フザケルナ」という論調となっている。自公政権にとっては、まさに自公ならぬ自業自得だ。

◆「給付金」装う振り込め詐欺に注意を 総務省

 総務省は14日、定額給付金の給付手続きを装った「振り込め詐欺」を防ぐため、ホームページで注意喚起を始めた。同省や自治体職員をかたり、電話でATM操作を指示したり、実際には生じない「手数料」振り込みを求めたりするケースなどを挙げ、そうした手続きを政府や自治体が求めることはないと強調している。

 「給付は早くても来年3月から」(同省関係者)だが、既に給付が始まったと誤解している人も多く、住民への連絡や給付手続きは始まっていない点も注意喚起した。

 市区町村判断で設ける可能性がある所得制限についても、「高額所得者なので、この口座まで返金してください」といった手口もあり得ると総務省は警戒している。日経新聞(1008年11月14日 23:58)
-->

2008年11月12日水曜日

イタリア経済とマフィア~消費税より高い「みかじめ料」   青山貞一

 この2月、ひさびさにイタリアにでかけたが、成田空港の銀行で1ユーロが170円を超えていたこともあるが、イタリア、とくにローマの物価の高さにへいこうした。

 たとえばローマ空港の公式両替で両替したとき、通常の手数料以外にも訳の分からぬ手数料がついていて、結局1ユーロ200円近くとなった。

 さすがに地下鉄や鉄道、バスなどの公共料金や博物館入場料などは、問題なかったが、空港やテルミニ駅、さらに町中で売っている清涼飲料水はベラボーに高い。

 たとえば日本で1本高くても150円で売られている500ccのコーラなどの清涼飲料水は2-3ユーロ、もし1ユーロが200円なら400~600円もする。単なる水でも500ccのペットボトルで2ユーロしていた。

 ちょっと気の利いたレストランでは、昼食が一番安いビジネスランチでも1600円以上、ディナーとなると、簡単に一人当たり5000円から10000円となる。もちろん、たいした店でなくてこれだ。

 私たちはローマの初日に窃盗にあい相棒がスッテンテンになったこともあって、旅行中、出来る限り質素倹約につとめたのだが、それでもローマの物価には驚くばかりだった。

 ホテルもテルミニ駅蕎麦の相当ボロで狭いホテルでも、90~120ユーロはする。15000~20000円と言ったところだ。もちろん立派な由緒あるホテルならまだしも、木賃宿に毛の生えたようなところでもこのありさまだった。

 これはナポリでも似たり寄ったり、ソレントでやっと少し良くなったが、やはり生活実感からして、飲食がらみが高いと感じていた。
 .....

 日刊ゲンダイの2008年11月13日号を読み、イタリアの物価の異常に高い原因が氷解した。記事のタイトルは「イタリア、マフィアが最大のビジネス、売り上げ15兆円」。

 イタリア国内の最大ビジネスは、フェラールでもフィアットでも、さらにアルファロメオでもなく何とマフィアが一番の売り上げを稼いでいるというのだ。

 日本ならさじずめトヨタや日立製作所、パナソニック、ソニーといった上場の巨大企業が最大のビジネスとなるが、それでも2008年3月の決算では、日立製作所の売り上げが11兆円、パナソニック(当時は松下電器産業)が9兆、ソニーが8.8兆円と、イタリアのマフィアには遠く及ばないのである。

 ではイタリアのマフィアは、どんな手口で15兆円もの売り上げ?を得ているのだろうか?

 イタリアの流通業界団体が11月11日に出した犯罪組織に関する調査報告書によれば、マフィアは年間約1300億ユーロ、日本円で約15兆8600億円もの売り上げを上げているという。

 同報告書によれば、マフィアは、ナイトクラブ、レストラン、精肉・鮮魚市場などに対する「みかじめ料」や「高利貸し」で何と、国内総生産の6%に相当する額を稼いでいるというのだ。

 もちろん、それ以外に麻薬取引、暗殺、密輸、密造、共謀、恐喝及び強要などの刑事犯罪に通ずる行為やカジノ、博打的なものもあるが、ひとびとの生活や観光客に関連したものが多いことが分かった。

 さらにローマではいたるところにスリや窃盗団がいるが、それらもすべてではないが、マフィアに関係していたり、「みかじめ料」の対象となっている。  そういえば、私たちがローマで経験した両替率の異常さ、レストランや飲食料の高さはいずれもこの「みかじめ料」も帰因しているのだろう。

 同報告書は、金融危機を背景に銀行が貸し渋りに動けば、マフィアによる高利貸の被害が増える恐れがあると指摘している。

 それにしてもマフィアの年間売り上げが15兆円にはおどろいた。 

2008年11月8日土曜日

悪夢のブッシュ政権八年、腐っても鯛の米国と腐り切る日本   青山貞一

 米国と言えば、ブッシュ大統領の8年、とくに2001年9月11日以降の米国は、単独行動主義を鮮明にしアフガン、イラクに大量の軍隊を英国などを巻き込み投入した。

ブッシュ政権は、大統領自身がそうであるように石油、天然ガス利権に満ちた閣僚が多数存在していた。 かくしてブッシュ政権の8年は、米国民のみならず世界各国のひとびとにとって、まさに悪魔の8年であったに違いない。 

 米国だけでなく世界各国を巻き込み対テロ戦争として行われたアフガンそして、イラク戦争は、なんのことはない、エネルギー新植民地主義、さらにエネルギー新帝国主義とでもいえる侵略戦争の様相を強めただけであったと云っても過言ではないだろう。

◆青山貞一:長編コラム 正当性なき米国のイラク攻撃
◆青山貞一:エネルギー権益からみたアフガン戦争、「世界」、岩波書店 

 当初、サブプライムローンは、一見して米国の低所得者層への住宅政策のように思われた。しかし、2006年にサブプライムローン債権が価格下落に転じ、2007年になって世界的にサブプライムローン問題が顕在化するに及び、このサブプライムローンシステムがけっして低所得者層に住宅を提供するための政策などではないことが分かったのである。

 それは私利私欲のために世界各国をアフガン、イラク戦争に巻き込んだブッシュ大統領や閣僚が、挙げ句の果てに抱え込んだ米国の財政赤字解消戦術と無縁ではない。

 ブッシュ政権は、巨額の戦費を拠出するためにバブル景気、それも実体経済と無縁にカネを捻出する金融資本主義的バブルを徹底して推し進めてきたのである。

 そして2008年春に始まったサブプライムローンバブル崩壊に端を発する株価の激落は、機関投資家を先物原油や先物穀物への投資に向かわせた。その結果、本来1バレル当たり50-60米ドルであった原油を7月には150ドル弱まで暴騰させたのである。エネルギー権益に満ちたブッシュ一族は実はここでも利権を得ていたのである。

 本来、世界中の生活や生産のもととなる原油を投機の対象としたWTI先物原油へのヘッジファンドなど機関投資家のカネの集中を米国政府は監視し、規制すべきであった。実際、米国下院の民主党はそのような法案を提出していたが、ブッシュ政権は法案化を阻止し、それがきっかけとなり先物の原油や穀物価格は暴騰したのである。

◆青山貞一<緊急報告0>外交なき「油上の楼閣」ニッポンの行く末は暗澹 

 同時期、ブッシュはガソリンにエタノールを混合させる燃料をトウモロコシなど穀物を原料に製造する政策を具体化した。その結果、先物穀物価格が暴騰し、それに端を発した食物価格の高騰は、貧しい途上国の人々だけでなく、格差社会のもと日々の生活もままならない人々を直撃した。

 ブッシュがアル・ゴアと闘った大統領選で間違って当選したブッシュだが、その後の8年を見ると、ブッシュがしたことの多くは、無謀な規制緩和による大企業や金持ち優遇、中東の天然ガスや石油を世界を巻き込む侵略戦争による搾取、そのための巨額の戦費による財政悪化、挙げ句の果ては米国初のサブプライムローンのシステム崩壊による世界的金融、経済危機の招来と、踏んだり蹴ったりであった。

 これは世界各国に対し劇的な悪影響をもたらすだけでなく、本場米国の国民にあっても同様だったはずだ。ごく一部の富裕層や金融バブルの恩恵を受けたものを除けば、圧倒的多くの米国民にとっても悪夢の8年であったに違いない。

 ......

 そんなブッシュ政権にひたすら追随、盲従してきたのが日本だ。 米国の巨額な戦費を米国債の購入だけでなく、アフガン、イラクへの戦後復興の名の下での巨額財政支援を積極的に行ってきたのは小泉総理以来の日本である。

 ところで、周知のように日本では小泉氏がマスメディアを使って行った情報操作による世論誘導による郵政民営化選挙で衆議院議員の2/3に迫る議席をとって以来、ブッシュ政権への盲従をさらに強めた。

 小泉氏は政権途中で安倍、福田に総理の座を実質禅譲した。しかも正当性も正統性もない安倍、福田政権は、それぞれわずか1年で政権を放り出し、その後、またまた実質禅譲によってトンデモの麻生政権が誕生した。この間、一切総選挙はない。

 民主主義の根幹をなす民意を無視し、ひとたび世論操作で得た多くの議席をもとに、小泉、安倍、福田、麻生の各政権はブッシュ政権同様日本を壊してきたのである。 これら小泉、安倍、福田、麻生の各政権に共通していることといえば、いうまでもなく二世、三世の国会議員である。まさに「親の七光り」そのものである。

 国会議員としての資質をもっているとは思えない三百代言的政治家、小泉氏、幼稚で稚拙な右翼思想をもった安倍氏、それにまったくリーダーシップをもたない不作為の福田氏、どれも首相、総理以前に国会議員としても不適格者と言われても仕方ない人ばかりだ。

 日本はブッシュが政権にいた8年の間、そんなトンデモの宰相を総理としてきたのである。親の七光り、二世、三世、さらに安倍、福田、麻生に至ってはまったく国民の審判を得ないで総理となった「日本の民主主義の民度を象徴する人物」である。

......

 ブッシュによるやりたい放題、悪夢の8年を米国や世界は経験したが、そこはチェック・アンド・バランスの国、「腐っても鯛」である。 昨日、バラク・オバマ氏が圧倒的大差で第44代の米国大統領に当選した。 オバマ氏はアフリカ系黒人の血を引く政治家だ。オバマ氏はわずか上院議員一期で黒人初の米国大統領になった。

 コロンビア大学、ハーバード大学ロースクールを卒業した弁護士でもあるというから、エリートには違いないが、米国民が選んだ米国のリーダーである。 米国は建国以来の危機にあることは間違いないが、その頂点で親の七光り、二世、三世でもない、しかもアフリカ系黒人をリーダーに選んだのである。

 腐っても鯛の米国、およそ民主主義から程遠い世襲で民意をまったく反映しない総理をいただく日本。 日本でも大統領制をと言いたいところだが、最低限すぐさま総選挙を実施して欲しいものだ! 

2008年10月24日金曜日

強権的行政手法で頓挫する静岡空港:開港延期か!?  青山貞一

 静岡県は、空港だけでなく、第二東名など、このご時世に不要・不急の公共事業を環境問題や財政問題を無視して強引している珍しい自治体だ。

 静岡空港についても、石川静岡県知事は、県民に耳をかさず一方的、強権的にハコモノ事業を推進してきた。 当然、裁判が頻発し、当初予測した将来乗降客数も下方修正を繰り返し、さらにその修正値ですら達成が困難となると、県内民間企業の航空貨物など物流分野で体裁をとりつくろうとしている。

 静岡空港の建設に反対してきた住民団体でなくとも、エェー静岡に空港なんているのと、日本中の失笑の的となっている。静岡空港建設事業は今や不要な公共事業の代名詞とさえ、されている。

 地元で「天皇」と揶揄されるように、傲慢で強引な行政手法で知られる石川静岡県知事は、この間、地元住民、県民、その道の専門家が何を言おうと一切、耳を貸さずに、愛知県と東京都の間で巨大な空港を強引に建設してきた。

 以下は、石川知事の強引、強権的な空港建設に抗議し、2007年2月6日、静岡県庁前で焼身自殺を図った井上英作氏の時世の抗議文である。

■石川嘉延に、抗議文 石川嘉延に物申す。

 貴様は、静岡県民の意思に反して静岡空港建設を推し進め、 今は、農民から無理やり、権力を使って土地を取り上げ、又、反対する多くの支援者をも無視して、力ずくで排除し、何の必要も無い、永久に税金を無駄遣いする空港を、 嘘八百を並べ立てて、さも役に立つ空港であるかのように偽装し、県民を騙し、 犯罪者となんら変わらないゼネコンを使い、癒着し、県民に百年の禍強調文根を残すその所業は赦しがたい。よって、我が命を捨ててその悪行を糾弾する。

 静岡県民 井上英作 今、地球は危機的な状況にあり、このような環境破壊に金を使うべきではなく、 間近に迫っている温暖化への対策に金を使うべきなのだ。 地球市民 井上英作  終わり。 

註:石川嘉延氏は静岡県知事(現職)。 

 以下はそれを報ずる毎日新聞の記事である。

◆焼身自殺>静岡県庁前で 空港建設に抗議か
  毎日新聞 
 6日午前3時50分ごろ、静岡市の県庁別館北側の歩道で、「黒い煙と火柱が立っている」と通報があり、消火後、成人男性の焼死体が確認された。近くの原付きバイク前かごから静岡空港建設に反対する知事あての抗議文などが見つかった。死亡したのは静岡市葵区の自営業、井上英作さん(58)で焼身自殺とみて調べている。

  ところで日本とカリフォルニア州の面積はほぼ同じである。その日本には100を超える空港がある。単純平均すれば都道府県ひとつに、2つの空港があることになる。一方、カリフォルニア州にはわずか16しか空港がない。

 新幹線があり、国土幹線自動車道の東名高速があり、しかも第二東名まで作っているのに、なぜ、環境破壊と累積債務が次世代に残る空港がいるのか?

 まともな日本人なら皆首をかしげるだろう。 実は今から 年前、中村敦夫参議院議員(当時)、佐藤謙一郎衆議院議員(当時)はじめ衆参6名の国会議員と私で、現地住民のご案内で静岡空港の建設現場を視察した後、静岡県庁の知事室に出向き、石川知事と1時間ほど議論したことがある。

 公共事業チェック議員の会の会長だった中村議員らが空港建設の見直し請し、同時に土地の強制収用を辞めるよう申し入れたのに対し、石川知事は、「今更、何をしに来たのか」という態度で対応した。 当時、国は自治体からの要望により土地収用法を一部改正し、強制収用がし易くなる改正をしている最中であった。東京都は日の出町の広域最終処分場建設を巡り、静岡県は静岡空港建設を巡り、国の動きに呼応し、法改正を国に強く要望していた。

 静岡空港建設に関連し静岡県は、空港の滑走路の地下を走る新幹線に対し、空港駅を設置するようJR東海に要望していた。当日、私たちはJR東海の幹部に面接し、事情を聞いた。幹部は静岡県には何度となく、空港駅を設置することはできないと伝えたと言明した。

 にもかかわらず、知事との会談で知事はJR東海が空港下に新幹線の駅を新設してくれるかのような発言を繰り返していた。これにはJR東海も仰天していた。 知事と国会議員との会談の模様は上の写真にあるようにテレビ各局によって夕方のテレビのニュースで放映された。

 静岡空港建設用地やその周辺には猛禽類のオオタカの営巣が多数見つかった。通常、それだけで建設は中止となるはずだが、静岡県は数1000万円の調査費を専門からに提供し、オオタカの巣は移設が可能というトンデモ結論を誘導し建設を強行してしまった。

 ..... ところで、来年春に開港になると言う静岡空港で、信じられないことが起きた。何と2500mの滑走路の延長線上にある立ち木が航空法の制限高に抵触し、開港できないというのだ。何と、その立ち木は空港建設に反対する住民(地権者)のものであり、勝手に切ることはできないという。

 以下の毎日新聞の記事を読むと、できあがっている2500mの滑走路を2000mに短縮して暫定使用しようとしているという。もちろん、航空管制関連施設の変更を含む手続が必要となり、そう簡単に済む話しではない。当然、かなりの追加予算が必要となる。

 しかし、これって行政として最低、最悪、無責任きわまりないことでなかろうか?

◆静岡空港:立ち木問題 県会全員協で知事、29日に対応策説明 /静岡毎日新聞

◇滑走路短縮案など浮上
 静岡空港西側の私有地に航空法の高さ制限を超える立ち木が残されている問題について、29日開催の県議会全員協議会で石川嘉延知事が対応策を説明することになった。21日の議会運営委員会で県が表明した。ただ、地権者は立ち木の伐採に難色を示しており、予定通り来年3月開港を実現するため、滑走路の短縮案などで事態の打開を図るのか、知事の決断が注目される。【松久英子、浜中慎哉】

◇地権者、伐採に難色
 9月11日に静岡地裁であった空港事業認定取り消し訴訟で、国・県側が高さ制限を約10メートル超える立ち木が数本残っていることを認め、問題が表面化した。空港は工事が終わった段階で、安全性確認のために国の検査を受けることが義務づけられている。だが、立ち木が残っていると合格しないため、県は当初9月中としていた国への検査申請を、急きょ延期した。11月1日までに申請できなければ、国に出している開港計画を作り直さなければならなくなるため、「来年3月開港」を掲げる県は、がけっぷちに追い込まれている。

 県は9月定例会で、議員からの質問に対し、一貫して「開港に支障のないように努める。詳細については答弁を控えたい」と具体的な方針を打ち出せなかった。さらにこの日の議運に出席した藤原通孝・総務部長も「申請期限が迫っているため、29日の全員協で対応について説明したい。具体的内容は検討中で、詰めた上で当日説明する」と述べるにとどめ、ぎりぎりまで解決策を模索する考えだ。

 立ち木が期限までに伐採できれば問題は解決する。だが、立ち木の所有者は空港建設に反対し、「測量を誤り、立ち木が残ってしまったミスを県が認めることが先決だ」としており、早急な解決は望み薄だ。行政代執行による強制伐採は時間がかかり、間に合わない。

 その上で、有力な解決シナリオの一つとして浮上してきたのは滑走路の短縮案だ。既に長さ2500メートルの滑走路の工事が終わっているが、それを申請では2000メートル程度に短縮し、立ち木があっても違法にならないようにするというアイデアだ。ある県議は「現在就航が決まっている飛行機のサイズなら、滑走路を短くしても離陸に支障は出ない」とする。

 だが、滑走路を短縮すれば、それに伴う航空灯火などの配置変更などの手続きが必要で、開港が遅れる可能性は残る。航空会社側からも「空港の仕様が変更になれば、投入する航空機の種類を変更する可能性もある」(全日空)、「予定通りの計画を期待しているが、変更するのであれば対応を考えなければならない」(日本航空)などの声が上がっており、29日に表明される県側の対応策を注視している。
毎日新聞 2008年10月22日 地方版 

 一方、以下は静岡県知事に対する静岡空港に反対する共有地権者の会の抗議文である。

 それを読むと、県が述べていることと事実は違うようだ。 すなわち、県は立ち木問題を以前から把握していたにもかかわらず、地権者等に対し、何らまともな合意形成をしてこなかった、すなわち誠意ある対応はせず、あいも変わらず強権的な対応をしてきたようだ。

 今になって地権者に泣きついても地権者が分かりましたというわけがない。 何ともお粗末きわまりない。さらに石川静岡県知事は「県が土地の強制収用の対象外としてきた地権者の樹木が伸びた結果」だという。わずか一年足らずで数m立ち木が伸びるわけがない。

 報道ステーションのインタビューにはエヘラエヘラ、何ともお粗末、杜撰、さらに誠意がまったく感じられない行政対応だ。 

 そういえば、中山前国土交通大臣が成田空港建設に関連し、地権者をゴネ得していると発言し、辞任に追い込まれたが、旧自治省出身の知事に対し、開港延期に伴うさらなる税金の不正支出(報道ステーションでは1億円)に関連し住民監査請求、住民訴訟が起こされるのは必至だろう!

2008年9月30日

静岡県知事 石川嘉延殿

空港はいらない静岡県民の会 静岡空港に反対する共有地権者の会

抗 議

 去る9月22日に行われた定例会見において、知事は空港西側の立木問題に関して以下のように事実をゆがめ、県民を欺く発言をした。われわれは、これに厳重に抗議するとともに、発言を撤回するように要求する。

① 知事は、「航空法の高さを越える立木の存在を1年前から把握していた」と述べたが、われわれはそれ以前から制限を越える立木及び土石の存在を指摘し続けていた。にもかかわらず、県は言を左右にしてその存在に対する認否をこの9月の時点に至るまで行わなかったのである。

② したがって、知事の「地権者との話し合いを続けてきた」との釈明が全くの虚偽であることは明らかである。

③ また、問題が発生した原因は、「07年3月までの段階から木が成長して伸びた」からだという抗弁は、苦し紛れにも程があると言うしかない。わずか1年余で数メートルも伸びるものだろうか。

 以上のように、知事の発言は事実に反し、県民に対する説明責任を放棄したものである。開港を不可能にするほどの問題を生起させた原因は、あげて県の空港建設事業自体、なかんずく、ずさんな測量をもって強権的に収用を急いだところにある。

 知事は自らの責任を地権者や反対運動の側に転嫁することなく、この失態を認めて県民に謝罪すべきである。この空港建設は不要・不急の事業の最たるものである。われわれはあくまでも県民の利益となるような県政の実現のために、知事が誠実に県民に説明し、県民と話し合うことを求めてやまない。

 以下は上記の抗議を報ずる産経新聞の記事である。

◆空港の立ち木問題で抗議

 静岡空港反対の市民団体2008年10月1日8時25分配信 産経新聞 静岡空港西側の私有地に航空法の規制を超える高さの立ち木が数十本ある問題で30日、空港に反対する市民団体が静岡県庁を訪れ、石川嘉延知事にあてた抗議文を提出した。

 文書は「空港はいらない静岡県民の会」(吉本健一代表)「静岡空港に反対する共有地権者の会」(芳賀直哉代表)の連名。石川知事が22日の定例会見で立ち木の存在を「約1年前に把握していた」「これまでも(地権者側と)話し合いをしてきた」などと述べたことなどについて「事実をゆがめ、県民を欺く発言」とし、県民への謝罪と発言の撤回を求めている。

 立ち木は、滑走路の西側約1400メートルにある反対派住民の所有地内にあり、開港手続きに遅れが出る可能性もある。

2008年10月17日金曜日

原油価格大幅続落もガソリン価格は依然高値 ④業界の情報操作!?  青山貞一

2008年10月16日、以下の記事が毎日新聞から出た。石油情報センターからのガソリン小売価格として、レギュラーガソリンの全国価格が前週6日比で3.1円安、1リットル161.6円とされている。

 まず、現在の全国平均価格が161.6円というのは、高すぎるのではないか?

 私の論考でいつも参考にしているガソリン価格比較サイトによれば、10月16日時点の全国平均価格は、155.7円である。

 両者の差は1リットル当たり5.9円もある。石油情報センターの場合、ここのガソリンスタンドの固有名詞がまったく公表されていないので、データの信憑性は低い。 ガソリン価格比較サイトでは、都道府県別のサンプリング数を公表するだけでなく、個々のガソリンスタンドを都道府県別に写真入りで公開している。 石油情報センターは、データの詳細を明らかにすべきである。

 いずれにぜよ、10月10日時点でガソリン価格は昨年の10月並みに大幅下落していることからすると、現在のレギュラー1リットルの価格が全国平均で161.6円というのは、高すぎるか、すなわち個々のガソリンスタンドが談合したり、カルテル化して高値につり上げているか、情報センターが敢えて高値としている、すなわち情報操作することで、個々のガソリンスタンドが高値としているのを側面から支援しているのではないか?と思われても仕方ない。

 次の問題は以下の記事にあるように、現在、先物原油は1バーレル当たりピーク時(147ドル程度)の半分に下落している。1バーレル当たり70ドル台まで下がっている。

 とすれば、レギュラーガソリンは昨年の実勢価格からして1リットル当たり140~145円程度でなければならい。 記事では今年の5月以来の1リットル当たり150円台に値下がり...と書いている。実体としては、1バーレル当たり70~80ドルの場合のガソリン価格は140~145円であるはずだ。

 いずれにせよ、業界は先物原油価格が上がるとすぐにガソリン価格を上げるのに、下がった場合には、遅々としてガソリン価格が下げていないのが実体である。 一体、新聞記者は自分で過去の原油価格とガソリン価格の比率などを調査して上で、以下のような記事を書いているのか??である。 

 おそらく石油情報センターからの情報を鵜呑みにして垂れ流しているだけではないのだろうか? 

◆ガソリン価格:6日比で3.1円安 10週連続下落

 石油情報センターが16日発表したガソリンの小売価格調査(14日現在)によると、レギュラーガソリンの全国平均価格は前週6日比3.1円安の1リットル=161.6円と10週連続で下落した。原油価格の低迷を反映し、各地のガソリンスタンドで値下げの動きが広がっている。 米国の原油先物相場は10月に入り、ピーク時のほぼ半分の1バレル=70ドル台に下落した。「ガソリン価格は今年5月以来の1リットル=150円台に値下がりするのが確実」(元売り大手)との見方が強い。
【谷川貴史】毎日新聞 2008年10月16日 20時04分

2008年10月12日日曜日

三浦和義氏追悼:~500件超の本人訴訟~        青山貞一

 三浦和義氏がサイパンからグアム、ハワイ経由で移送されたロスの拘置所で自殺したというニュースが10月11日の夕方入ってきた。私はちょうど、冤罪問題を追及しているグループから「三浦和義氏の長期拘留・逮捕状有効決定に抗議する声明」を「独立系メディア」にアップロードしている最中のことであった。

 その三浦和義氏は、東京拘置所のなかから、名誉毀損裁判を本人訴訟で、それも500件を超す訴訟を起こした。時効などを除けば、勝訴率は8割以上とされている。 私は大学の法律の授業のなかで三浦和義氏が行ったこの本人訴訟について訴訟実務を含め必ず触れている。そして学生達に自分の権利が不法に侵害されたら、泣き寝入りすることなく、本人訴訟で対応しようと教えている。

 その三浦和義氏は、「人権と報道 連絡会」での講演で本人訴訟について次のように述べている。

 「1985年9月に逮摘された後、『こんなでたらめな報道にあっていったいどうすればよいのか』とく本当に悩みました。そのまま放置すれば、報道が事実として皆さんの胸に残ってしまう。 あれだけの報道の中で、そう思わない人は逆におかしい。拘置所に面会に来てくださった人権と報道・連絡会の方の中に支『最初は三浦さんを犯人と思っていた』と言う方がいました。それが当時の報道に接Lた人のごく自然な受けとめ方だと思います。

 私は悩んだあげく、『報道は事実ではない』とはっきり言つために、朝日新聞はじめ多くの新聞社に抗議をした。しかし、半分以上は返事ももらえない。返ってきても『当社としては信じるに足りる取材・報道をした』で終わりです。

 私は一個人です。しかし新聞社は何億という資本金を持った大会社です。1対1になるにはどうすればいいのか。結局民事訴訟を起こして、法廷に彼らを引き出し、裁判所にどちらが正しいか判断してもξつしかない、そう考えて、初めて訴状を書いたわけです。 訴状は『本人訴訟はこうすればできる』という本を参考に書き、そうしてこれまでに486件の訴状を出して争ってきました。

 当時、私がいちばん悩んだのは、日本には報道被害を訴えていく第三者機関がない、ということでした。報道やメディアに対して警告を出してくれるような機関がない、最近、テレビ界にはBROに関ずる委員会機構ができましたが、その第一回の判定をみると、やはりメディア寄りの印象があります。そういう不満は今でもあります。

 結局個人がメディアと闘って、ごく当たり前に誤りを正させるには民事訴訟を一人で起こすしかない、なぜ一人でかというと、日本の民事訴訟の判決は、勝訴して良いいところ100万円。 弁護土を立てれば、その謝礼などでほとんど消えてしまって、1割り残ればいい方。それが今の判決状況です。それで、本人訴訟でやり始めたわけです。本人訴訟はどれぐらいでできるか。仮に300万円の損害賠償を請求する訴訟を起こした場合、印紙代は2万4600円、一それに予納郵券などを入れても3万少し。あとは、ボールペンー本と若干の努力さえあれば、だれにでもできるのです。

 ....中略.... 

私が起こした訴訟について、マスコミで流れている[勝率は6割」というのはトリックです。私の敗訴の半分以上は、時効による門前払いで、私は負けたとは思っていません。

 ....中略....

 報道被害にあったら、どんどん訴訟を起こしたらいい、私はそう言ってきましたし、現に名古屋、大阪、東京拘置所で3人の方が30件以上の訴訟を起こし、何件かは勝訴もしています。拘置所にいる間はほとんどできませんでしたが、これからは彼らに私の民事訴訟の訴状、準備書面、判決などのコピーを送って、どんどん訴訟を起こしてほしいと思っています。

出典:「人権と報道 連絡会ニュース」より

2008年10月11日土曜日

三浦和義氏の長期拘留・逮捕状有効決定に抗議する声明  三浦和義氏の逮捕に怒る市民の会

(注)本声明を「独立系メディア」のWebに掲載中に、三浦和義氏がロサンゼルスで自殺したとのニュースが飛び込んできた。ご冥福をお祈りするとともに、以下の声明にあるように日米両国による人権侵害に強く抗議するものであります。

 米国ロサンゼルス捜査当局は米国自治領サイパンで2月以来、7か月余にわたって不当に身柄を拘束してきた三浦和義氏を本日、ロスに移送した。

 私たちは、日本の最高裁で無罪が確定した三浦氏に対する米国捜査当局による長期拘束を重大な人権侵害として抗議してきた。

 しかし、サイパン・ロスの裁判所は拘束を正当化する決定を出し、三浦氏はロス移送を受け入れざるを得なくなった。三浦氏は、ロスで徹底的に闘う決意を新たにしているが、今回の移送は不当拘束をさらに長期化するものであり、あらためて強く抗議する。

 三浦氏は2月以来、サイパンで身柄釈放を求めて人身保護請求を行う一方、ロスにおいては逮捕状無効を申し立て、その取り消しを求めてきた。これに対してサイパン地裁・最高裁は請求を棄却。ロス郡地裁は9月26日、逮捕状の一部を有効とする決定を出した。

 ロス郡地裁決定は、逮捕状記載の被疑事実である「殺人」「殺人共謀」のうち、殺人については「日本で判決が出ており『二重の危険』に当たるため無効」としたが、殺人共謀については「日本の刑法には共謀罪に当たる規定がなく、日本の共謀共同正犯とは構成要件が異なるため共謀罪に『二重の危険』は適用されず、その訴追は有効」とした。

 だが、逮捕状で挙げられた共謀を推定させる行為は、日本の検察当局が三浦氏を「殺人の共謀共同正犯」として起訴した際に挙げた「事実」や公判で主張した「共謀行為」に含まれている。

 その「共謀の事実」が存在しなかったことを日本の裁判所は認めて、「共謀共同正犯による殺人」という検察主張を退け、無罪が確定したのである。 ロス郡地裁決定は、「日本では、共謀罪では裁かれていない」と極めて形式的な判断で、事件の実体というべき殺人罪で無実が立証された三浦氏を「二重の危険」にさらした。

 もともとこの事件は、メディアの「疑惑報道」に煽られた日米捜査当局が緊密に協力し、情報交換したうえで、米国側の逮捕状記載事実(共謀を推定させる行為)も含めて、日本で起訴することで合意したものである。

 その「日米合作」というべき起訴事実が日本の裁判所で認められなかったからといって、「今度は米国で、別の法律で」というのは、まさに「一事不再理」の原則に反する不当な人権侵害である。

 起訴された人の99・9%が有罪になる日本の裁判で無罪が確定した事実こそ、三浦氏の起訴がいかに根拠のないものであったかを示している。日本政府は、最高裁が下した判断を無視・否定する米国による身柄拘束に抗議すべき立場にある。

 最高裁も、この暴挙に抗議すべきである。まして、日本の捜査当局が米捜査当局に再度「捜査協力」するなど、自国の司法判断を軽視し、ないがしろにする行為と言わざるを得ない。

 私たちは、米国捜査当局の不当なロス移送に強く抗議し、直ちに三浦氏の身柄を釈放するよう要求する。また、日本政府が米国政府に三浦氏の釈放を求め、早期帰国に向けて自国民保護の義務を果たすことを強く要請する。 また、日米のマスメディアに対して、日本における確定無罪判決の内容を詳細に広く伝え、三浦氏に対する人権侵害を一刻も早く止めさせるために、ジャーナリズムとしての本来の役割を発揮されることを期待する。

http://www.jca.apc.org/free-miura/ 
電子メール free-miura@jca.apc.org
連絡先:電話090-6175-3405
「三浦和義氏の逮捕に怒る市民の会」事務局

これって露骨な選挙対策? わずか一年だけの高速道路料金半額   青山貞一

 民主党の高速道路無料化政策をボロクソ誹謗中傷してきた自民党だが、この1年間に限り、高速道路の夜間割引を10月14日から来年の9月30日まで5割引にすると発表した。

 首相の最大任期が来年の9月までだから、それまでには必ず総選挙がある。まさにこれって選挙対策ではないのか? この1年間だけ。しかもETC車だけというのもふざけている。

 これは露骨な選挙対策だ。実に国民を馬鹿にした話しである! それにしても、大マスコミは政府の広報機関となっている。

 ただ以下のような記事を垂れ流すだけは広報機関にすぎない。なぜ、批判をしないのか?

■高速道夜間割引、14日から5割引に■

 政府がまとめた緊急経済対策の目玉のひとつである高速道路料金の夜間割引が、今月14日から5割引に拡大されることになりました。

 値引きされるのは今月14日から来年9月30日までの1年間、ETC=料金自動収受システムを搭載して、全国の高速道路を利用する車両を対象に実施されます。

 平日の午前0時から4時までこれまで4割引きだった料金を5割引に拡大するほか、土日・祝日の午前9時から夕方5時の昼間の時間帯も、東京・大阪近郊を除いて5割引にします。

 これにより、東京から大阪まで夜間、普通自動車で移動する場合、通常1万650円の高速料金が5350円となります。

 今回の割引で予想される減収は1026億円にのぼりますが、緊急経済対策として全額国費で負担するため、高速道路各社が45年かけておよそ40兆円の債務を返済する償還計画に変更はありません。(JNN 2008年10月10日16:59)

2008年10月4日土曜日

神奈川県の禁煙条例を支持する! 青山貞一



 日本は先進国の中で一番喫煙者の割合が多い。男性の割合は減ってきたとは言え依然として先進諸国でダントツ、一番高い。他方、女性は20歳代など若い層を中心に喫煙率が増加している。

 喫煙問題で世界各国に勧告している世界保健機関(WHO)によれば、副流煙による影響が主流煙のそれよりも3倍も多いとしている。

 WHOは日本では毎年9万人以上が直接、間接的な喫煙の影響で死亡しているとしている。さらに喫煙に起因する肺ガンなどの疾病に関連する医療費も莫大なもの(額)となっているのはいうまでもない。

 医療費、健康保険制度の財政が一段と厳しくなっている折、国、自治体はまずは禁煙をあらゆる場所で徹底すべく尽力すべきである! 禁煙政策、施策を徹底せず、税制を増やすために価格だけを上げるのはおかしい。  いうまでもなく主流煙はもとより、副流煙には多環芳香族炭化水素(PAH)など発ガン物質が多数含まれている。

 いわゆる受動喫煙、すなわちタバコを吸わないひとへの喫煙の影響が吸っている人よりも大きいことから、健康増進法の第25条で受動喫煙の有害性が明確にされ、公共的な空間での喫煙を禁止する規定が盛り込まれた。

 具体的には健康増進法第25条において受動喫煙とは「室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされること」と定義され、同時に「学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない」こととされた。

 しかしながら、同法には何ら罰則がなく、せいぜい自治体が条例により禁煙地域を指定するなどの措置により駅前など部分的に禁煙ゾーンが指定されている。しかし、これらは全地域から見ればごく一部の地域である。

 そんななか、神奈川県の松沢知事は、以下の神奈川県公共的施設における禁煙条例(仮称)の制定に力を入れている。

 神奈川県では、受動喫煙の防止に向けた取組みをさらに進め、受動喫煙から県民の健康を守るため、「神奈川県公共的施設における禁煙条例(仮称)」の制定を検討しています。

 これまでに、受動喫煙に関する県民意識調査、施設調査の実施や、ふれあいミーティングや施設管理者等との意見交換を通じてさまざまな意見をいただくとともに、医療や法律の専門家等から構成される「神奈川県公共的施設における禁煙条例(仮称)検討委員会」を設置し、専門的な見地から条例の内容について検討いただいているところです。

 このたび、検討委員会での議論や県民・事業者からの意見等を踏まえ、別紙のとおり、条例についての基本的考え方[案]を作成し、第4回検討委員会においてご検討いただくこととしました。

 神奈川県条例の骨子案で「分煙」は次の条件となっている。

 ①喫煙区域と非喫煙区域とを仕切り等で分離する
 ②喫煙区域にたばこの煙が拡散する前に吸引して屋外に排出する
   ための屋外排気設備(換気扇等)を設ける 
 ③非喫煙区域から喫煙区域に向かう空気の流れ(0.2m/s以上)が
   生じるようにする

 この骨子暗に関連してつい最近、NHKのテレビで神奈川県の禁煙条例制定をめぐって、神奈川県と飲食店や宿屋・ホテル、パチンコ店などの経営者と議論している番組を見た。その番組では大部分の時間が飲食店や宿屋・ホテルなどの経営者が、もしこの条例が制定されると営業がつづけられなくなるなど、条例の制定がもたらす経済的影響に費やされていた。

 確かに小規模事業者の場合、県が想定している分煙措置を達成するための空間や資金がないため、結果として廃業に追い込まれる可能性がないとは言えない。

 しかし、健康増進法第25条の対象施設としてに規定されている、学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他多数の者が利用する施設を管理する者のうち、施設の規模が小規模であるからといって、いつまでも禁煙どころか、苦肉の策である分煙措置に協力しないことは、由々しき問題である。

 なぜなら応用物理学的にいえば規模が小さく容積の小さな施設であればあるほど、施設内部で喫煙する者がいると、内部にいる者全体が高濃度の煙を吸わされるからである。その典型例が自動車の車内である。

 私の大学の研究室(青山ゼミ)には、毎年、デジタル粉塵計を用いて喫煙による影響を測定した上で卒業研究を書いている学生がいるが、彼女は今年は乗用車内でタバコを吸った場合の車内濃度をあらゆる角度から測定している。

 車内の大きさ、窓を開閉した、車速の違いなどによって車内濃度がどう変わるかなどを、実測値をもとに評価している。それをみると、やはり閉じられた狭い空間でタバコを吸うと、信じられないほどの高濃度となることが分かる。

 私たちはボストンで開催された国際ダイオキシン会議に喫煙によるダイオキシン摂取リスクに関する英論文をだした。17カ国の研究者から様々な質問や資料要求が寄せられた。この研究では、日本と米国で売られているタバコの煙に含まれるダイオキシン類の量を定量的に推定するものであり、ケント1mgが一番量が多いことも分かった。

 ところで、健康増進法の第25条の規定について言及すれば、同法の同条項に「罰則がない」ことを強調する者が多い。

 だが、それはあくまでも健康増進法なる行政法のなかに罰則がないだけであって、もし、継続的に受動喫煙の被害を受けているひとが喫煙者相手に民事で損害賠償訴訟、すなわち不法行為として喫煙者を訴えた場合、損害額の大小を別とすれば、喫煙者が敗訴する可能性が大である。

 となると、小規模であることを理由に、神奈川県の条例制定に反対するのはいかがなものか? テレビでは、禁煙にすると神奈川県内の旅館から他の県の旅館に客が逃げるといっている。もちろんそう言う客もいるだろうが、私見では完全禁煙であることで宿泊する客もいるだろう。

 いずれにせよ、発ガン性が明確となっている喫煙、しかも早期発見でも、その後10年間生きられる確率が約20%しかない、すなわちひとたび肺ガンになると治る可能性が低いのだ。

 その肺ガンの主原因である喫煙について、こともあろうか飲食店や旅館の経営者が、単に営業、すなわち営利だけの観点で禁煙条例に反対するのは不見識きわまりないと思えるがどうだろうか? 職業の自由、営業の自由の曲解であるとさえ思える。

 ちなみにタクシーはすでに完全禁煙化の方向に向かいつつある。

 なお、私が知事の政策顧問でいた長野県では、田中康夫氏在任中、県庁施設はすべて完全禁煙としていた。長野新幹線は全国に先駆けて全車両全面禁煙となった。ただし、県庁の全面禁煙は条例によるものではないため、知事退官後、村井知事は副知事等が喫煙者であったことから敷地内全面禁煙を廃止してしまった。

 これについては、「これまでの禁煙政策を踏みにじるものでしかない」として日本禁煙学会から以下のような声明が知事、副知事等に送られている。

 最近になって、日本学術会議は、「脱タバコ社会の実現に向けて」という要望を全国の大学に勧告している。

 と言うことで、「営業の自由」と「人間の生命」を比較考量するまでもなく、喫煙による影響、被害は甚大であり、神奈川県の試みは支持されるべきである。。これは先進諸国の状況を見れば一目瞭然である。

 神奈川県(知事)は、ぜひとも禁煙条例を全国に先駆け自信をもって制定してほしい。それが世界の大きな流れ、メインストリームである!

2008年10月2日木曜日

永久保存版、麻生太郎失言集! 青山貞一


 ここでは、麻生太郎総理の過去における失言あるいは問題発言を以下に列記したい。年代順に掲載している。

 麻生氏の失言の多くは、単なる品格の欠如、下品というだけではない。また皮肉やウィットなどとして片付けられるもの者ではなく、差別意識、社会経済弱者蔑視、歴史認識の誤りなどに根ざしているものと思える。 

 以下は、麻生総理の過去の失言集  出典は主にWikipedia。
  • 衆議院選挙に初出馬した1979年の演説で登壇して開口一番、支援者に対して「下々の皆さん」と発言したことは語り草となっている。また、当選後に「将来の総理大臣」というマスコミに対して「年寄り代議士が何人か死ねばね」と応えている。
  • 1983年2月9日、高知県議選の応援演説にて「東京で美濃部革新都政が誕生したのは婦人が美濃部スマイルに投票したのであって、婦人に参政権を与えたのが最大の失敗だった」と、国が女性に参政権を与えている事を批判した。
  • 2003年10月20日にホームレスについて、「新宿のホームレスも警察が補導して新宿区役所が経営している収容所に入れたら、『ここは飯がまずい』と言って出て行く。豊かな時代なんだって。ホームレスも糖尿病という時代ですから」と発言し、事実に反する上に差別的であるとして各地の日雇い労働者および野宿者支援組織などから抗議を受けたが、翌日の会見で改めて趣旨を説明したものの撤回等はしていない。
  • 総務大臣在任中の2005年10月15日、この日に開館した九州国立博物館の開館記念式典での来賓祝辞の中で「一文化、一文明、一民族、一言語の国は日本のほかにはない」と発言。同博物館は選挙区は異なるものの麻生の地元である福岡県内にあり、しかもその展示内容は日本とアジアの交流の歴史から、文化の多様性を示すものである。
  • 2006年1月9日、福岡県飯塚市で開いた集会で、シドニーで予定されていた日米豪閣僚級安全保障対話が延期されたことに関連し「シャロン首相の容態が極めて悪く、会議途中でそのままお葬式になると意味がないので延期ということになった」と述べ、配慮を欠くとの批判を浴びた。
  • 2006年7月8日に広島市内で行なった講演で、北朝鮮がミサイルを撃ち、主要国が重大な関心を持ったことについて、「金正日に感謝しないといけないな」と発言した。もっとも、これは金正日に対する痛烈な皮肉であり(そもそも本心から感謝しているわけではない)、さして大きな問題にはならなかった。
  • 2007年7月19日、富山県高岡市内で講演会において、国内外の米価を比較する例えとして「7万8000円と1万6000円はどちらが高いか。アルツハイマーの人でもわかる」と発言。これについては野党からの反発はもちろん、与党からも参院選に悪影響だと懸念され、塩崎恭久内閣官房長官からも「適格性を欠く」と批判された。翌7月20日に謝罪した上、撤回した。
  • 2007年7月20日、アルツハイマー発言の翌日に鳥取県倉吉市での演説で「酒は『きちがい水』だとか何とか皆言うもんだから、勢いとかいろんなことありますよ」と発言した。
  • 2008年2月、中国製冷凍餃子中毒事件に関連し熊本市での講演で、「日本の農産物に付加価値がついた」「(日本の)農産物、高いけど、うまい、きれい、加えて安全、3つきたんじゃないの? 農協は中国に感謝しないといけない。ものすごく付加価値がついた」と発言した。
  • 2008年8月4日、福田改造内閣組閣後に江田五月参議院議長と会談した際、民主党を批判した上で「ナチス・ドイツも『1回(政権運営を)やらせろ』と言ってああなったこともある」と発言したところ、民主党関係者から猛抗議を受けた(民主党をナチス扱いしたわけではない)。
  • 2008年9月、『(認証式のために)陛下の日程をあけておけ』と首相でない麻生が宮内庁に指示を出した。
  • 2008年9月14日、JR名古屋駅前での自民党総裁選候補としての街頭演説の中で、前月に岡崎市など愛知県内で3人の死者を出した平成20年8月末豪雨に関して、「岡崎の豪雨は1時間に140ミリだった。安城や岡崎だったからいいけど、名古屋で同じことが起きたら、この辺全部洪水よ」と被災地域を軽視した発言を行った。これに対し岡崎・安城の両市と岡崎市議会は麻生側に抗議文を郵送。同17日、麻生側は「不用意な発言で不快な思いをさせたことをお詫びし、復旧についてできる限りのことをする」との趣旨の謝罪文を、岡崎・安城の両市に送付した。

2008年9月30日火曜日

中山前大臣を遙かに凌ぐ失言癖? 麻生太郎!      青山貞一

 まぁ、多くの国民が唖然としたのではないだろうか? 中山成彬前国交省大臣のことだ。以下の毎日新聞の記事をご覧いただければ分かるが、辞任した直後9月29日、またまた言いたい放題である。まさにトンデモ人間である。

毎日新聞 2008年9月29日 東京夕刊ttp://mainichi.jp/select/seiji/news/20080929dde041010037000c.html
中山前国交相:民主党政権なら日本が大阪府に 止まらぬ暴言

 失言問題で辞任した中山成彬(なりあき)前国土交通相は29日午前、TBSの情報番組に出演し、「民主党政権が誕生すると、日本全国が今の大阪府みたいになる。職員組合とのなれあいで財政破綻(はたん)にひんしている」と述べた。大阪府をやり玉に挙げて労働組合の支援を受ける民主党批判を展開した。

 成田空港拡張への反対を「ごね得」などと発言したことについては、「(関係者に)不快な思いをさせたことはおわびしたい」と陳謝した。一方で、「政治生命をかけてでも国民に訴えていかないといけない責任がある」と述べ、日本教職員組合(日教組)を「日本の教育のがん」などと批判した発言は撤回する考えがないことを改めて示した。

 また中山氏は、28日に首相官邸で麻生太郎首相に辞表を提出した際のやりとりを紹介。中山氏が「麻生さんの前で腹を切りに来た。任命責任と言われるだろう。本当に申し訳ない」と申し出ると、首相は神妙な面持ちで「誠に残念」とつぶやいたという。【近藤大介】

 しかし、トンデモ閣僚は何も中山前大臣ばかりではない。その予備軍は麻生内閣に沢山いるのだ。 

まず、麻生総理だ。

麻生総理は9月29日の所信表明演説で、自分たちがしたきてことをすべて棚に上げ、民主党批判を繰り返した。小泉、安倍、福田と世間知らずのおぼっちゃま内閣がしてきたこと、それも社会保険、後期高齢者健康保険など国民の生活を破壊に追い込み、極度な規制緩和で日本社会を弱肉強食社会とし、その結果、中小企業や地方経済を瀕死の状態に陥れたことを知らないとはいえまい。3年で3人総理が分かることで国際的信用を失墜してきたこともある。

その麻生氏は失言癖で品のない物言いでつとに有名だ。

 なかでも『当時、朝鮮の人たちが日本のパスポートをもらうと、名前のところにキンとかアンとか書いてあり“朝鮮人だな”と言われた。仕事がしにくかった。だから名字をくれといったのが、そもそもの始まりだ』といい放っている。 これはお隣の韓国の国民感情を逆撫でし国際問題に発展した。

 福岡県飯塚市にある麻生氏の邸宅を見ればすぎに分かるが、麻生家は3~4万坪の敷地に超がつく豪邸がある。私も以前、福岡県の川崎町に行ったとき、途中、麻生家の近くを通った。どこまでもつづく壁、その敷地の広大さはとびぬけていた。もっぱら、東京の自宅もざっと土地家屋で50億円は下らないという。 その麻生家が麻生商店は、日本が朝鮮を統治していた時代、朝鮮人の労働者を強制連行し、三井鉱山よりさらに安い賃金で搾取し、莫大な利益をあげていたという。

そうであれば、麻生グループの後継者、麻生太郎氏が日本による朝鮮半島の植民地支配をを美化し、創氏改名を「満州で仕事がしにくかったから、名字をくれと言ったのが、そもそもの始まりだ」などと語った背景が分かるというものだ。

 麻生氏は、「アルツハイマーの人でも分かる」とか、「高齢者の85%は周りが迷惑するほど元気」など自民党の国会議員の中でもダントツに失言が多い。

 以下に上記の失言を含め、麻生氏が放った主な失言を示そう。

①「これ(2008年8月末に愛知県などを襲った豪雨災害)が安城、もしくは岡崎だったからいいけど、この名古屋で同じことが起きたら、この辺全部洪水よ」(2008年9月14日 名古屋市で行われた自民党総裁選の街頭演説会で)

②「ドイツは(野党だった)ナチスに一度やらせてみようということで政権を与えてしまった」(2008年8月4日 野党・民主党所属の江田五月参議院議長を表敬訪問した際)

③「アメリカ人に中東問題は解決できない。アメリカ人はブロンドで青い眼だから。日本人は信頼される。幸い我々は黄色い顔だから。」(2007年)

④「(従軍慰安婦の存在について)客観的な証拠がない」(2007年)

⑤「消えた年金の突き合わせで受給者はもっと貰えるかもしれない。こらあ、欲の話だろうが」(2007年12月)

⑥「(日本の農産物輸出に関し)78.000円と16.000円はどっちが高いか。アルツハイマーの人でも分かる」(2007年7月富山県高岡市の講演で)

⑦「高齢者の85%は周りが迷惑するくらい元気だ」(2006年9月)

⑧「安さだけなら核(武装)の方がはるかに安い」(2003年5月)

⑨「創氏改名は朝鮮人が望んだものだ。日本はハングル普及に貢献した。」(2003年の東京大学の学園祭での講演で)

⑩「独断と偏見かもしれないが、私は金持ちのユダヤ人が住みたくなる国が一番いい国だと思っている。」(2001年4月日本外国人特派員協会で)

⑪「野中広務のような部落出身者を日本の総理にはできないわな~。」(2001年) 

どうだろう。いずれも相当酷い失言だ。もし、総理として上記クラスの失言をすれば、国際問題が起きるだろう。そもそも今の自民党は、こんな人物を総理とするほど人材がいないのか!  

2008年9月27日土曜日

 安倍、福田の2代に渡る世襲による1年放り投げ内閣の後、選挙管理内閣として麻生内閣が誕生した。しかし、この麻生内閣は、自身が典型的な親の七光りの世襲議員であるだけでなく、閣僚も16人のうち11人が世襲議員と、もとより政治家としての資質、正当性が疑われる人間ばかりだ。

 この9月24日から25日、マスコミによる全国世論調査(電話)が行われたが、麻生内閣の支持率は、ご祝儀相場のポイントもなく、あの安倍、福田内閣よりも低いありさま。

 毎日新聞           45.0%
 朝日新聞           48.0%
 共同通信           48.6%
 読売新聞           49.5%
 フジサンケイネットワーク  44.6%
 日本テレビ系         46.7%
 テレビ朝日系         50.4%
 日経新聞            53.0%

 これらはいずれも福田内閣発足時(2007年9月)の支持率を5ポイントから12ポイントも下回っている。
 これを小泉首相以降の歴代総理と比較すると以下のようになる。ただし、過去の支持率を含めデータは読売新聞。

 小泉内閣   87.1%
 安倍内閣   70.3%
 福田内閣   57.5%
 麻生内閣   49.5%

 歴然と、麻生内閣は出発当初から国民の支持がないことが分かる。

 当人や官房長官は、強がりを言っているが、国民の多くは、「世襲のおぼっちゃま」首相と内閣が4代つづいていることにうんざりしている。北朝鮮をまったく嗤えない常態にある。

 一方、9月25日、小泉元総理が国会議員を辞職することを表明した。しかも、自分の横須賀の地盤、看板を次男に世襲させることを公言している。横須賀と言えば、米国の原子力航空母艦、ジョージ・ワシントンが核3原則をないがしろにして日本の横須賀を母港とし、そこからアフガンやイラクなどの戦場に原子力空母が就航することになる。

 また小泉元総理は、前回のいわゆる郵政民営化選挙で、まさにマスコミ操作による世論誘導で300議席になんなんとする巨大な議席を自民党に与えた人物だ。だが、小泉元総理が行った「構造改革」の多くは、日本社会を米国並みの格差社会とし、若者、地方、高齢者などいわば社会経済的弱者を切り捨てる弱肉強食社会をつくった張本人である。

 小泉流「構造改革」の副作用が顕在化し、しかも日本全体を疲弊させていることへの反省もないままの引退に、国民の多くは呆れている。

 もっぱら、世襲議員とは別におよそ国会議員の資質と能力が問われるいわゆる小泉チルドレンと称される衆議院議員の多くがこれで一巻の終わり、すなわち年内にも迫っている衆議院議員選挙で大部分が落選確実となるという、国民にとってプラスの面もないわけではない。

 とはいえ、日本社会は、「世襲の無責任男」によって4代つづいて蹂躙され、国際的な信用は瓦解し、GDP世界第二位の国でありながら自殺者が毎年3万人を超える異常な国となっている。

 いずれにせよ、正当性と正統性がない者が一国の総理、首相を牛耳る異常な事態を解決するためにも、直ちに総選挙で国民の民意を問わなければならない。

2008年9月26日金曜日

「世界透明性」ランキング、日本は国会議員世襲などで18位  青山貞一

 2008年9月24日,TBSのニュースで、「世界透明度」ランキングの発表があった。日本は、ベルギー、米国とともに18位だった。昨年が17位だから一歩後退である。

 上位10傑は、①デンマーク、①ニュージーランド、①スウェーデン、④シンガポール、⑤フィンランド、⑤スイス、⑦アイスランド、⑦オランダ、⑨オーストラリア、⑨カナダである。

 これらの国々は他のランキングでもいつも上位にいる国だ。

 TBSニュースにおける日本に対する「特質」すべきコメントを以下に示す。

 総理大臣や閣僚が次々と辞任し、政治の混乱が続いていること、そして未だに二世、三世議員が多く政治の世界での透明性が十分確保されていないことが、順位の下がった原因だと指摘されました。

 「今の政治家を見ても家族的なつながりがあるケースが多く、(いまだに)二世、三世議員がたくさんいます」 

  (トランスペアレンシー・インターナショナル、リアオ アジア部上級代表)

 これは私が常々指摘していることであり、つい最近も以下の論考を公表したばかりである。

◆青山貞一:大マスコミが報じない自民議員過半が二世三世議員
  http://eritokyo.jp/independent/aoyama-col1200.htm

 上の論考を発表した直後、日本では、小泉、安倍、福田につづき世襲議員の麻生太郎が自民党の総裁そして総理、首相となった。直近の総理が4代続いて二世、三世の世襲議員である。世襲議員による総理、首相のたらい回し、といってもよい。

 しかも、安倍、福田は在任期間がわずか1年で総理、首相の座をホッポリ投げている。このような先進国は日本以外にない。

 さらに2008年9月24日に発表された閣僚名簿を見ると16人中11人が世襲議員である。 また9月25日になって小泉首相は国会議員を引退することを突然表明したが、何と自分の後釜に次男の小泉進次郎(27)を後継に指名している。これほど恥ずかしいことはないが、本人はまったくそれが分かっていない。引退するのは一見潔いとも思えるが、これでは台無しだ。何も二世議員が辞め際に三世議員候補を指名することもなかろう!

 今回の世界透明度ランキングでは、まさに日本の国会議員、総理の世襲性や選挙で政権の正当性、正当性が示されていない総理、首相が、無責任に1年で2回も辞任したことが国際的に非難されたことを如実に示している。

 日本では自民党による政権の私物化だけでなく、国会議員の私物化が常態化し、先進国で一番政権交代のない国となり、世界の笑いものとなっている。にもかかわらず、当のご本人達がまったくそれを分かっていないところに、絶望的なものがある、と言えよう。

「世界透明度」ランキング、日本18位(TBSニュース 2008年9月24日00:34)

 政治家や公務員の汚職やモラルなどの「腐敗の度合い」を調べた世界透明度ランキングが、ドイツの研究機関によって発表されました。日本は前回17位、今年は何位にランク付けされるのでしょうか。

 調査を行ったのは、ドイツのNGO「トランスペアレンシー・インターナショナル」で、政治家や公務員の汚職やモラルがどの程度腐敗しているのかを世界180か国を対象に比較し、「透明度の高い順」からランク付けしています。

 今年の日本の順位は、去年から1つ下げて18位。総理大臣や閣僚が次々と辞任し、政治の混乱が続いていること、そして未だに二世、三世議員が多く政治の世界での透明性が十分確保されていないことが、順位の下がった原因だと指摘されました。

 「今の政治家を見ても家族的なつながりがあるケースが多く、(いまだに)二世、三世議員がたくさんいます」(トランスペアレンシー・インターナショナル、リアオ アジア部上級代表) また、中国については「依然として共産党の腐敗は続いている」として前回と同じ72位。

 ロシアは、官僚に渡るワイロが未だに莫大な金額で、政治と官僚システムが極めて不透明だと指摘、去年より4つ順位を下げ147位でした。

2008年9月8日月曜日

こんな欠席裁判番組あるか! テレビ朝日 サンデープロジェクト

 テレビ朝日、サンデープロジェクトは、以前から政府・自民党の要人を呼び、言いたい放題言わせている番組だ。

私見では、このサンデープロジェクトという番組は、番組そもののが自民党の広報機関となり下がっていると思える。

 全国放送でこの種の番組を永年していることに大きな問題がある。番組内の情報操作によって世論誘導を行っているのでは、と思われても仕方ない。

私は「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」(放送法第三条の二)という観点で、最近この番組がしていることは、放送法に抵触するのではとさえ思っている。

原因の多くは、田原総一郎にあるだろう。さらに上記とは別に、強引な番組の引き回し、番組内での言論封殺。自分のシナリオの押しつけ。出演者の罵倒などなど。これらは枚挙にいとまがない。

 今日、すなわち2008年9月7日のサンプロはとりわけ、それがとくに酷かった。放送法に抵触するのではないかと思える。 9月1日、福田首相が職責を一年足らずで投げ出したあと、次期の自民党総裁候補をスタジオに呼び、出馬の目的、動機などを田原が聞くものであった。

 それに先駆け行われた田原総一郎と町村信孝官房長官による福田首相の職責放り投げの理由を聞き出すコーナーでは、その場にいない小沢一郎代表や民主党への一方的な非難のオンパレードとなった。民主党議員がスタジオにいないことをいいことに、町村は冒頭から民主党バッシング。そのなかにはどうみても民主党に対する中傷誹謗も含まれていると思える。

 なにしろ民主党議員がいないのだから、自民議員の言いたい放題に反論のしようもない。まるでどこかの国の裁判のように、主尋問だけで反対尋問がない裁判、あるいはいわゆる「欠席裁判」である。

さらに、候補者ひとりひとりへの出馬の目的、動機などを田原総一郎が聞くコーナーでも、なぜか民主党への中傷的な批判が続出した。批判はおおいにあってもよい、さらにあるべきだ。しかし、これから衆院選挙を控えた自民総裁選が近くにあることが問題だ。公共の電波を使って一方的に政権政党が野党第一党がいない場で、ここまで批判、中傷を行ってよいものだろうか?

 そもそも、もともとの問題は、衆院を解散せずに正当性のない総理が安倍、福田とふたり続き、いずれも一年足らずで職責を放り投げたことにある。 その間に国民にとって非常に重要な立法、政策、施策が目白押しだったにもかかわらず、まともな政権運営をしてこなかった安倍、福田総理、そして自民党、同党議員にこそ、多くの問題の根源がある。

 にもかかわらず、それを棚に上げて、町村はじめ自民党議員は、ネジレ、小沢代表、民主党批判ばかりを展開していた。見ていた視聴者は「何だこれ」と思ったに違いない。たとえ自民党を支持している見識ある有権者にも、自民党の今日の行状が見苦しく映ったに違いない。

 もし、これが逆、すなわち自民党国会議員がスタジオにいないところに民主党議員が同じことをしたら自民党は烈火のごとくテレビ局に抗議し、今後、一切自民党の国会議員は出演しないなどと恫喝を加えるだろう。 しかも、田原はこのままだと自分は政権交代になると思うけどと、幾度となくその場にいない民主党への批判を自民党国会議員に扇動する始末だ。

 この日のサンデープロジェクトは、さながら自民党議員による一方的な民主党バッシング、誹謗中傷大会となっていた。とりわけ酷かったのは、町村議員だったことを強調しておこう。 私見ではこの番組は、放送法にも抵触するのではないかと思う。すなわち、放送法の第一条には、次の3点が原則として示されている。

1 放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること。
2 放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること。
3 放送に携わる者の職責を明らかにすることによって、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。

 この原則の下に、第三条には「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない」とあるし、第三条の二には放送番組について

1 公安及び善良な風俗を害しないこと。
2 政治的に公平であること。
3 報道は事実をまげないですること。
4 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。

と定められてもいるからだ。

放送法 第1章 総 則目的
第1条 この法律は、左に掲げる原則に従つて、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。

1.放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること。
2.放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。
3.放送に携わる者の職責を明らかにすることによつて、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。

2008年9月6日土曜日

どこまで有権者を愚弄するのか! 「民主主義の敵、自民党」

どこまで有権者を愚弄するのか
「民主主義の敵、自民党!」青山貞一
掲載月日:2008年9月6日

信じられないことだが、一国の総理大臣が就任後一年、しかもふたり続けて自らの職責を放り投げた。開いた口がふさがらない。

 以下は昨年の同時期、安倍首相の政権投げだしについて書いたブログである。ちょうど一年後、まるで悪夢のように同じことが繰り返されている!まさにデジャヴである。

■安倍首相のトンデモ無責任の政権放り投げ 
  青山貞一:取り沙汰される安倍首相辞任の別のわけ!?
  青山貞一:唖然・呆然、安倍首相のトンデモ無責任、辞任劇
  青山貞一:1年弱で農相4名、防衛相3名の異常 

 この間、福田首相は国民生活や外交的に重要な政策、施策の多くに自らのリーダーシップを発揮することなく、すべて先送りしてきた。

 社会保険庁問題、後期高齢者社会保険制度、官僚天下り問題、独立行政法人解体問題、防衛省汚職問題、日雇派遣問題、ガソリン暫定税率問題に象徴されるように、国民の生活に密接に関係する課題に自公政治はまったくまともに応えてこなかったのである。 福田内閣は、小泉、安倍以上に霞ヶ関の官僚機構をコントロールできず、官僚天国は一層拡大した。そのなかで格差社会は一段と悪化している。 霞ヶ関の突出は何も厚生労働省や防衛省だけでない。

 私が「関東軍」と揶揄している国土交通省道路の道路局や河川局は、これ幸いとB/C(便益/費用比)で根拠が薄い高速道路やダムなど不要不急な土木公共事業を黙々と進めている! 経済産業省は地球温暖化対策として原発を推進し、環境省はすでに世界一ゴミを燃やしているが、さらにゴミの焼却主義を推進しようとしている。

 格差社会の拡大は同時に、正直者が馬鹿を見る最悪の社会となっている。私は米国社会をよく見ているが、米国は多民族国家であるが、実質単一民族社会である。その日本でかくも経済的に格差が生じている。おそらく戦後最大の格差であろう。

 福田内閣は小泉政権時代のさまざまな悪弊を引きづりながら、さらに政官業癒着による既得権益政治にもまともに対応していない、果ては選挙目当てに公明党の党利党略に乗ってその場限りのバラマキ政治を容認した。その矢先の政権投げ出しだ。 そもそも、超無責任政治で日本社会を奈落の底に陥れている断末魔の自民党は、小泉純一郎が郵政民営化という「情報操作による世論誘導」によって衆院を解散して得た衆院選挙で得た巨大議席を悪用し、その後何年もやりたい放題をしている。 その恥も外聞もない自民党の無責任のやりたい放題を援護しているのは、いうまでもなく大マスコミである。小泉流の劇場政治にまんまと大マスメディアが引っかかり、のせられ政治の本質とまったくかけ離れたところで有権者が総動員させられたのだ。その愚をまたしても自民党総裁選挙でやっている。

 有権者、国民はけっして馬鹿でないから、二度とその手には引っかからないだろうが、これがマスコミと思うと寂しくなる。過日、私も尊敬する米国マサチューセッツ大学のN.チョムスキー教授が、大マスコミは歴史的に見ると、いずれも権力になびき、スポンサーにへつらうと述べていたが、まさのその通りだ。自民党同様、恥も外聞もないのが大マスコミである。恥を知れと言いたい!

......

 百歩譲って小泉が郵政民営化というシングル・イッシューで大議席を獲得したとして、その後の参議院議員選挙で国民は、すぐさま自民党の三百代言、詐欺師紛いの政治に明確にノーを突きつけたことを忘れてはなるまい。そして、国民、有権者は傲慢、無責任きわまりない自公に明確な自民党ノーという答えを示した。

 にもかかわらず、本来有権者が選択した結果としてのネジレ現象は自民党は自分たちの無責任で先送り政治が原因であるのに、あたかも民主党など野党が何でも反対して何も決まらないかのごとく喧伝、ここでも大マスコミは、民主主義そのものをまったく理解せず、断末魔の自民党政権による不作為によって起きているさまざまな問題をネジレのせいにする自民党の広報機関まがいの報道を繰り返した。

 民主主義国家であれば、「ネジレ」は審議を深め、政権政党の暴走を食い止めるために必要な面も多々ある。もちろん、政権交代が理想だが、「ネジレ」はそこへの過渡現象としての登竜門であるはずだ。 以下は、参議院選挙後に書いた私のブログである。

■青山貞一:与野党逆転ではじまる民主政治の夜明け
  ①参院発の法案
  ②安部総理の誤算
  ③テロ特措法問題
  ④「脱」利権構造
  ⑤実質、政権交代!?
  ⑥解釈改憲の芽を潰せ
  ⑦情報格差の解消を
  ⑧国政調査権の徹底活用
  ⑨産党選挙区候補半減 

 元はと言えば、本来、シングル・イッシューである郵政民営化選挙を大メディアを利用し、情報操作による世論誘導で得た議席を背景に、その後、やりたい放題、無責任を繰り返してきたことが問題の本質であるのに、何ら正当性と正当性のいずれもない安倍、福田の2代つづく総理のたらい回しを批判することなく自民党のマスコミ誘導に乗り続けてきたのである。

 安倍も福田ももともと何ら国民の洗礼を受けていない、すなわち正当性も正統性もない政権である。しかも、安倍や福田は小泉の路線を継承しているわけでないのに、その政権のすることを国民の立場から本質的に批判してこなかったのである。

 本来、当然のこととして衆院を解散し、民意を問うのが憲政の常道である。常識的にはどう見ても衆院を解散すれば負けるに決まっている。 永年、政権の座にいたことで骨身にしみた政権の座にいることによるうま味を手放したくない、だから降りたくないという党内事情だけで、この間、小泉の残存任期を安倍、福田と政権が繋いできた。

 その形式的な残存任期のなかで、国民生活を破壊する支離滅裂、支離滅裂政治をまともに批判せず、政府・自公政権の広報を垂れ流しているマスコミは何らマスコミに値しない。

 腐っても鯛という日本語がある。しかし、今の自民党はただ腐っているだけだ。 既得権益にしがみつき、既成事実をつみあげるだけで、何ら国民の負託に応えていない。世論操作、マスコミ操作術に長けた自民党が、いいようにマスコミを利用し、世論を誘導し扇動しているのである。

 ....

  自民党政治家の52%が二世、三世議員であるというデータがあるという。何も努力せず、親の地盤、看板などで国会議員となり、大臣となり、総理大臣となっている。その傾向はまったく改善されるどころか悪化している。

 事実、以下にあるように、小泉→安倍→福田の3首相はいずれも二世であり、もし、麻生が首相となれば、これまた二世議員である。

 麻生太賀吉  → 麻生太郎
 福田赳夫 ・福田宏一 → 福田康夫
 安倍寛     → 安倍晋太郎  → 安倍晋三
 小泉又次郎 → 小泉純也 → 小泉純一郎

 ■青山貞一:自民党は二世、三世議員が半分を占める!?
   「二世」「三世」議員
   大マスコミが書かない二、三世議員総理たらい回し
   大マスコミが書かない二世、三世議員による総理たらい回し(2) 

 私はこの「独立系メディア」で何度となく指摘、批判してきた。 親の七光りの無能で無責任のボンボン議員が次々に舞台に現れては消えてゆく様は、あまりにも異様であり異常である。にもかかわらず大マスコミは、それを視聴率稼ぎになるとはやし立てているのは無様を通り越し、犯罪的ですらある。

 歴史的見ると、直接民主主義から間接民主主義に移行したあと、民主制度における「議員」は選挙ではなく「抽選」であったそうだ。来年から始まる市民裁判員制度の裁判員の選定は「抽選」をとっている。 それがいつしか選挙になったのだが、日本では国会議員、とくに自民党議員の多くは世襲となった。世襲は「抽選」から最もほど遠いものだ。ここにも自民政治の民主主義の大きな誤解というか、はき違いがある!

 本来、当然のこととして衆院を解散し、民意を問うべきである。さらに、政権交代すべきである。もちろん、民主党には第二自民党といってもよい課題をたくさんもっており、おせいじにもまともな政党とは言えない。 だが、だからといって、いつまでも無責任で無能な自民党政治を一旦やめさせることが日本社会の蘇生、再生には不可欠だ。

 ◆青山貞一:どうした民主党 第2自民党から脱皮せよ! 再拡充版 

 国民、有権者の多くは民主党にお手並み拝見として政権交代を期待している。

 いずれにせよ、今の日本の政治の現実では、お隣の北朝鮮や中国を批判したり、嗤えるものではない。 自公両党は、これ以上、日本という国、国民の名誉と信用を毀損すれば気が済むのか?

 いつまで今や先進諸国中で最悪の三流政治をつづけるのか? 国民も大マスコミの情報操作による世論誘導に組みすることなく、国民としての政治的義務を果たさなければならい。

 そのためにも私たちは、愚劣なマスメディアの扇動と情報操作から目を覚まさなければならない!

軽乗用車水没による女性水死事故は人災!

 2008年8月16日午後6時、栃木県鹿沼市の市道で軽乗用車が冠水中のアンダーパス道路に入り運転中の女性が死亡した(以下の記事参照)。

 女性は、同市内の主婦、高橋博子さん(45)。中国から帰国する一人息子を迎えにいく途中だったという。下はそれを伝える共同通信と読売新聞の記事である。

●雨水流れ込んだ市道で軽乗用車水没、45歳女性死亡…栃木
 16日午後7時20分ごろ、栃木県鹿沼市茂呂の冠水した市道で、鹿沼市千渡、派遣社員高橋博子さん(45)の軽乗用車が屋根まで水没しているのを鹿沼署員が発見した。高橋さんは救出され、病院に搬送されたが間もなく死亡した。発表によると、現場は東北自動車道鹿沼インターチェンジ付近の市道で、同自動車道の下をくぐった部分。豪雨により、最大約2メートルの深さで冠水していたため、現場付近で同署員が交通規制中、水が引いてきて現れた車を見つけた。
(2008年8月16日22時17分 読売新聞)

●栃木の車水没事故で現場混同 県警も判断ミス2008年8月24日 20時49分
 栃木県警は24日、同県鹿沼市の市道で軽乗用車が水没し女性(45)が死亡した事故で、本人と目撃者から110番がありながら出動していなかったことを明らかにした。通信司令課員が、同じような水没事故があった約1・5キロ離れた別の現場と勘違いしたことが原因としている。鹿沼市消防本部も119番を受けながら出動していなかったことが既に分かっている。県警によると、16日午後6時19分に目撃者から、同21分に女性本人から「車内に閉じこめられている。ドアが開かない」と110番があった。 別の水没事故に関しては午後5時58分から6時4分までに5件の110番を受けていた。
(共同)

 以下は現場の状況図である。出典:青山貞一作成出典:TBS JNN ニュース 2008.8.26出典:TBS JNN ニュース 2008.8.26 以下は現場の推定地図。東北自動車道鹿沼インターチェンジ近くの市道で近くにガソリンスタンドがある。複数の地図を見たところ東北自動車道鹿沼インター近くの市道で近くにガソリンスタンドがある箇所か以下しかない!。間違いようもないはず。出典:グーグルマップより作成出典:ライブドアよ作成

 ところで高橋博子さんが軽乗用車に閉じこめられたことの経緯は、以下の通りである。

①高橋博子さんが母親に携帯電話で「助けて~」と連絡(16日午後6時18分)
②直後、母親が消防本部に119番通報したが出動せず(同6時19分)
③博子さん自ら「車に閉じ込められた」と、110番通報(同6時21分)がこれも出動せずこの事故に関連し、高橋博子さんの母親がTBS JNNのインタビューで怒り心頭となっていた。

 母親は110番や119番の関係者は、そもそも緊急時対応が本業(=それで食っている)ことを強調していた。 まさにその通りだ。 記事やテレビ報道では、同時刻に多くの電話連絡が入り、110番や119番の関係者がパニックになっていたと言うが、緊急時対応、危機管理が本務、本業の公務員が、パニックになってどうするのか、と言いたい!娘さんからの現場実況中継の携帯電話を聞いた!出典:TBS JNN ニュース母親の気持ちは察して余りある。 「最後は『お母さん、さよなら』でした。

 あの絶叫は一生忘れられない」出典:TBS JNN ニュース 現場には市役所の降雨センサーがあり、大雨が降ると市役所にすぐさま情報が入り、同時に警報のサインがでるという。さらに水位が上がると、バリケード(通行止め)が道路上に置かれるという。 しかし、今回はそのバリケードは置かれていなかった。鹿沼市によれば、バリケード設置は土建業者に民間委託していたが、その業者はバリケードを設置していない。

 何でも市内には、今回事故が起きた場所と類似の場所が4箇所もあるという。 TBSのニュースによれば、「道路を管理する鹿沼市では事故発生のおよそ45分前に、道路が冠水したことを把握。車両が進入・水没しないように、委託業者にバリケードを設置するよう要請していましたが、想定以上の雨だったために、現場に保管していたバリケード自体が水没。道路を封鎖することができませんでした。 「高橋さんの車はここで浮いていた。ここら辺ぐらいまでは水位があったかもわからないんですけど」(バリケードを設置しようとした業者) 通報に正しく対応していたら、高橋さんの命は救えたのではないか・・・。バリケードが設置できていたら、車は水没せずに済んだのではないか・・・。 もともと「危険」といわれていた場所での事故。行政・鹿沼市に強い憤りを感じているという高橋さんの遺族ですが、26日開かれる市側の会見を見て、今後の対応を決めるとしています。(25日17:09) 」ということである。........ 

 今回の事故の現場は東北自動車道の下をくぐる片側1車線の道路で、地面より低くなっていたことに構造的原因がある。

 この事故は警察や消防の対応とは別に、大きな問題を投げかけているはずだ。

 それは何かと言えば、鹿沼市など建設行政、土木行政の不作為だ。 都道府県から市区町村まで、日本では土木行政は旧建設省、現在の国土交通省の補助金や設計標準などにもとづき、道路建設、立体交差建設、河川改修、ダム建設をしている。

 その国土交通省は、八ツ場ダム建設を見れば分かるように、当初50年に一回の確率、次に100年に一回の確率、最近では150年に一度の確率で起こるという大降雨に備え、河川の治水を行っている。 そのために全国各地で毎年数1000億円の税金や特別会計の巨額な公金が使われている。群馬県の八ツ場ダムでは、すでに4600億円の巨費が投じられている。 

 しかし、どうだろう国や自治体は片方で巨額の公金を使い150年に一度起こるかどうか分からない大降雨、大洪水に備え、いつできるとも知れない巨大なダムを建設している。 他方、今回の現場のように、かなり以前から大降雨によって市道のアンダーパスの窪みに水が溜まり、自動車が水没する可能性が指摘されていながら、まったく修理もせず、交通規制もせず、案内表示もせずに、尊い人命をうしなわせてしまっているのである。

 もし、市役所の土木課などが、常識の範囲で洪水対策のための構造設計の変更と工事をあらかじめしていれば、高橋さんが亡くなることはなかったはずである。 国土交通省は、大降雨、大洪水が起きるとことさら流域住民や国民に恫喝をやめ、巨額な土木工事費でいつ完成するとも知れない治水事業など中止し、国、都道府県、市区町村は今回のようなことが起きる可能性がある場所の修理に全力を挙げるべきではないか?

 今後、都市内部で短時間にピンポイント的に大降雨が起きる可能性は高まるだろう。

 最近の例でいえば、神戸市灘区の都賀川が大雨による鉄砲水で増水し4人が濁流に流されて死亡した事故、東京都豊島区の下水道で作業員が流され東京都豊島区の下水道で作業員が流され、2人が死亡、3人が行方不明になった事故など、都市内部での水害危険箇所を徹底的に調べ、改善することが急務である! この国の土木行政は、不要不急で巨大な事業ばかりに巨費を投じ、本来的に必要な事業には、いくら指摘を受けても対応していないことが問題である。

 いずれにせよ、今回の一件は、人災であり、警察行政、救急行政そして土木行政の不作為であり過失であり、国会賠償訴訟を起こされても仕方ないだろう! 最後に、今回の軽乗用車の水害事故を教訓として、自動車メーカーは、自動車の天井に、いざというときのために首から上だけを自動車の外にだせる天窓を常設すべきである。