2009年4月20日月曜日

オバマの真価を問う中南米諸国との関係修復  青山貞一

 現地時間の2009年4月17日、カリブ海のトリニダードトバコのポートオブスペインで米州首脳会議が始まった。 この会議は、ひさびさに北米、中米、南米、カリブ海諸国が一同に会する会議である。 開幕式典で演説したオバマ米大統領は「上下の無い対等な関係構築に努める」と述べた。

 しかし、ノーム・チョムスキーMIT教授の言葉を借りるまでもなく、米国は歴史的に中南米、カリブ諸国を米国の裏庭とみなし、あたかも殖民地であるかのごとく扱ってきた事実がある。

 またJ.F.ケネディ大統領以来、米国はキューバを敵視し、キューバに対して経済封鎖を公然と現在に至るまで行っている事実もある。

 これら米国の中南米、カリブ諸国へのいわば「蔑視政策」は、前ブッシュ大統領において頂点に達していた。.... これら米国のいわば蔑視政策に対し、中南米諸国は、反米・反帝国主義を掲げるヴェネズエラのウゴ・チャベス大統領がリーダーシップをとる形で、ボリビア、ニカラガなど反米急進派だけでなく、ブラジル、アルゼンチン、さらに穏健派諸国を巻き込む形で反ブッシュ包囲網を形成してきた。

 そのウゴ・チャベス大統領は、国連でブッシュ大統領を「悪魔」呼ばわりする一方で、フィデル・カストロ前キューバ革命会議議長らキューバ政府の立場をあらゆる公式の場で代弁してきた。

 世界各国にとって「悪魔」であったブッシュ政権から、米国では黒人初のオバマ大統領となったが、実は今回の米州首脳会議にもキューバだけが出席を拒否されていた。歴代、米国の大統領が拒否権を発動してきたからである。

 ところでこの会議で、オバマ大統領は「アメリカ政府はキューバと、人権・表現の自由、民主的改革など、幅広い問題について協議する用意がある」と述べ、長年対立してきたキューバに対し、「アメリカは新たな始まりを求めている」と呼びかけた。

 これに対し、変米の雄、チャベス大統領は、「米国よりキューバの方が民主主義がある」と持論を展開、民主化への取り組みの遅れなどを理由にキューバのOAS復帰を拒む米国を批判した。

 客観的に見て、ケネディー大統領がキューバへの経済封鎖を行ってこの方、米国の歴代大統領がとってきたキューバ敵視政策は、チャベス大統領の言を待つまでもなく、まったく時代にそぐわないものである。いわば旧ソ連との間での冷戦構造時代の歴史的遺物のようなものである。

◆青山貞一:米国の経済封鎖、オバマ大統領は封鎖解除を!

  またブッシュ政権時代を見れば分かるように、米国は対外的に人権だ民主主義だと声高に叫ぶ割に、アフガン、イラクなど中東諸国にエネルギー新殖民地主義的な侵略を行ったり、キューバの東端にあるガンタナモ基地に多くのアフガン、イラク、パキスタンなどイスラム人を強制収容している。

 米国は世界各国から人権無視と厳しい批判を受けており、オバマ大統領はガンタナモ基地のこの刑務所の閉鎖を公約している。

 米国の建国の理念、精神がいくら立派で崇高であっても、現実に米国が中南米諸国でCIAや軍を使い行ってきたことは、国際音痴の日本人やジャーナリズムが知らないだけで、ブッシュ前大統領がいう「テロ国家」そのものであったといえる。 その意味でチャベス大統領のいう「米国よりキューバの方が民主主義がある」という言葉は極めて現実味をもっており、同時に言葉の重さをもつものである。

 ただ中南米、カリブには今でも米国の裏庭、殖民地的な地域や傀儡政権的国家が多数ある。その意味で、反米、反グローバリズム、反国主義を旗幟鮮明にし、物言う大統領、チャベス氏の役割は一段と大きなものとなるだろう。

 一方、私見だがオバマ大統領の真価が本当に問われるのは、欧州、日本ではなく中南米、カリブなどの諸国との関係改善が可能となるかどうか、とくにキューバへの経済封鎖経済封鎖や敵視政策を大幅に改善できるかどうかにかかっていると思う。


ブッシュ前政権と違いアピール 米、中南米と融和姿勢
東京新聞 2009年4月19日 朝刊 
【ニューヨーク=阿部伸哉】
 十七日にカリブ海のトリニダード・トバゴで開幕した米州首脳会議で、オバマ大統領の中南米外交が本格始動した。大統領は反米左派のベネズエラのチャベス大統領と握手を交わし、演説でキューバとの対話姿勢を打ち出すなど、ブッシュ前政権との違いをアピール。左派勢力の伸長が目立つ中南米で、米国の復権にどこまでつながるか注目される。

 会議の最大の焦点は、米国から約半世紀にわたって経済制裁を受け、事実上の除名処分を受けているキューバの扱い。公式議題ではないが、中南米諸国から制裁解除を求める声が高まっている。 オバマ大統領は開幕式のあいさつで、参加国の期待に応えるようにキューバに何度も言及。「どの国も自分の道を歩む権利がある」とし、「米国はキューバとの新たな始まりを求める」と述べた。

 クリントン米国務長官も前政権の対キューバ政策は「誤りだった」と認め、政権の方針転換を印象づけた。

 キューバを社会主義モデルと仰ぐチャベス大統領は前日、首脳会議の最終宣言案を「米国の対キューバ制裁解除が盛り込まれていない」として拒否。緊張感が高まる場面もあったが、オバマ大統領は開幕式の前にチャベス氏と握手し、融和ムードを打ち出した。

 チャベス氏は十八日、中南米の植民地支配の歴史を記したウルグアイ人作家の著書をオバマ大統領に贈呈。米政権が中南米諸国への理解を深めることを期待したとみられ、オバマ大統領は笑顔でこれを受け取った。


米州サミット開幕 オバマ大統領「中南米と対等な関係」
【ポートオブスペイン(トリニダード・トバゴ)=檀上誠】

 北・中南米の首脳が一堂に会する米州首脳会議(サミット)が17日、当地で開幕した。開幕式典で演説したオバマ米大統領は「上下の無い対等な関係構築に努める」と述べ、これまで「米国の裏庭」とみなして配慮を怠ってきた中南米に対する政策の転換を宣言した。

 式典ではこれに先だちアルゼンチンのフェルナンデス大統領が「序列ではなく協調を基にした関係が必要だ」と指摘。オバマ大統領が応じた格好だ。

 オバマ氏は中南米各国の首脳が求めている対キューバ政策見直しについて「米・キューバ関係は新たな方向に前進できる」と発言。中米歴訪の直前に発表した在米キューバ人の一時帰国の緩和など、対キューバ政策の根本的な見直しに踏み出したことを強調した。

 開幕式典では、反米を掲げるニカラグアのオルテガ大統領が一時間を費やし、米国の歴代政権の中南米政策を批判する一幕もあった。オバマ大統領は「自分が生まれたころに起きたことまで、私のせいだと言われなくてよかった」とかわした。(13:12)日経新聞


OAS宣言案に拒否権も=キューバへの言及に不満-ベネズエラ大統領 
【ポートオブスペイン16日時事】

 ベネズエラの反米左派チャベス大統領は16日、カリブ海の島国トリニダード・トバゴの首都ポートオブスペインで17日から開幕する米州機構(OAS)首脳会議で採択予定の首脳声明について、OASから事実上排除されたままのキューバへの言及に不満があるとして、同調する他の国と共に拒否権を発動すると語った。AFP通信などが伝えた。

 チャベス氏は「宣言は受け入れ難い。時宜にかなっておらず、まるで時間が止まったかのようだ」と指摘。さらに「米国よりキューバの方が民主主義がある」と持論を展開、民主化への取り組みの遅れなどを理由にキューバのOAS復帰を拒む米国を批判した。
(2009/04/17-10:15)時事通信

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