静岡県は、空港だけでなく、第二東名など、このご時世に不要・不急の公共事業を環境問題や財政問題を無視して強引している珍しい自治体だ。
静岡空港についても、石川静岡県知事は、県民に耳をかさず一方的、強権的にハコモノ事業を推進してきた。 当然、裁判が頻発し、当初予測した将来乗降客数も下方修正を繰り返し、さらにその修正値ですら達成が困難となると、県内民間企業の航空貨物など物流分野で体裁をとりつくろうとしている。
静岡空港の建設に反対してきた住民団体でなくとも、エェー静岡に空港なんているのと、日本中の失笑の的となっている。静岡空港建設事業は今や不要な公共事業の代名詞とさえ、されている。
地元で「天皇」と揶揄されるように、傲慢で強引な行政手法で知られる石川静岡県知事は、この間、地元住民、県民、その道の専門家が何を言おうと一切、耳を貸さずに、愛知県と東京都の間で巨大な空港を強引に建設してきた。
以下は、石川知事の強引、強権的な空港建設に抗議し、2007年2月6日、静岡県庁前で焼身自殺を図った井上英作氏の時世の抗議文である。
■石川嘉延に、抗議文 石川嘉延に物申す。
貴様は、静岡県民の意思に反して静岡空港建設を推し進め、 今は、農民から無理やり、権力を使って土地を取り上げ、又、反対する多くの支援者をも無視して、力ずくで排除し、何の必要も無い、永久に税金を無駄遣いする空港を、 嘘八百を並べ立てて、さも役に立つ空港であるかのように偽装し、県民を騙し、 犯罪者となんら変わらないゼネコンを使い、癒着し、県民に百年の禍強調文根を残すその所業は赦しがたい。よって、我が命を捨ててその悪行を糾弾する。
静岡県民 井上英作 今、地球は危機的な状況にあり、このような環境破壊に金を使うべきではなく、 間近に迫っている温暖化への対策に金を使うべきなのだ。 地球市民 井上英作 終わり。
註:石川嘉延氏は静岡県知事(現職)。
以下はそれを報ずる毎日新聞の記事である。
◆焼身自殺>静岡県庁前で 空港建設に抗議か
毎日新聞
6日午前3時50分ごろ、静岡市の県庁別館北側の歩道で、「黒い煙と火柱が立っている」と通報があり、消火後、成人男性の焼死体が確認された。近くの原付きバイク前かごから静岡空港建設に反対する知事あての抗議文などが見つかった。死亡したのは静岡市葵区の自営業、井上英作さん(58)で焼身自殺とみて調べている。
ところで日本とカリフォルニア州の面積はほぼ同じである。その日本には100を超える空港がある。単純平均すれば都道府県ひとつに、2つの空港があることになる。一方、カリフォルニア州にはわずか16しか空港がない。
新幹線があり、国土幹線自動車道の東名高速があり、しかも第二東名まで作っているのに、なぜ、環境破壊と累積債務が次世代に残る空港がいるのか?
まともな日本人なら皆首をかしげるだろう。 実は今から 年前、中村敦夫参議院議員(当時)、佐藤謙一郎衆議院議員(当時)はじめ衆参6名の国会議員と私で、現地住民のご案内で静岡空港の建設現場を視察した後、静岡県庁の知事室に出向き、石川知事と1時間ほど議論したことがある。
公共事業チェック議員の会の会長だった中村議員らが空港建設の見直し請し、同時に土地の強制収用を辞めるよう申し入れたのに対し、石川知事は、「今更、何をしに来たのか」という態度で対応した。 当時、国は自治体からの要望により土地収用法を一部改正し、強制収用がし易くなる改正をしている最中であった。東京都は日の出町の広域最終処分場建設を巡り、静岡県は静岡空港建設を巡り、国の動きに呼応し、法改正を国に強く要望していた。
静岡空港建設に関連し静岡県は、空港の滑走路の地下を走る新幹線に対し、空港駅を設置するようJR東海に要望していた。当日、私たちはJR東海の幹部に面接し、事情を聞いた。幹部は静岡県には何度となく、空港駅を設置することはできないと伝えたと言明した。
にもかかわらず、知事との会談で知事はJR東海が空港下に新幹線の駅を新設してくれるかのような発言を繰り返していた。これにはJR東海も仰天していた。 知事と国会議員との会談の模様は上の写真にあるようにテレビ各局によって夕方のテレビのニュースで放映された。
静岡空港建設用地やその周辺には猛禽類のオオタカの営巣が多数見つかった。通常、それだけで建設は中止となるはずだが、静岡県は数1000万円の調査費を専門からに提供し、オオタカの巣は移設が可能というトンデモ結論を誘導し建設を強行してしまった。
..... ところで、来年春に開港になると言う静岡空港で、信じられないことが起きた。何と2500mの滑走路の延長線上にある立ち木が航空法の制限高に抵触し、開港できないというのだ。何と、その立ち木は空港建設に反対する住民(地権者)のものであり、勝手に切ることはできないという。
以下の毎日新聞の記事を読むと、できあがっている2500mの滑走路を2000mに短縮して暫定使用しようとしているという。もちろん、航空管制関連施設の変更を含む手続が必要となり、そう簡単に済む話しではない。当然、かなりの追加予算が必要となる。
しかし、これって行政として最低、最悪、無責任きわまりないことでなかろうか?
◆静岡空港:立ち木問題 県会全員協で知事、29日に対応策説明 /静岡毎日新聞
◇滑走路短縮案など浮上
静岡空港西側の私有地に航空法の高さ制限を超える立ち木が残されている問題について、29日開催の県議会全員協議会で石川嘉延知事が対応策を説明することになった。21日の議会運営委員会で県が表明した。ただ、地権者は立ち木の伐採に難色を示しており、予定通り来年3月開港を実現するため、滑走路の短縮案などで事態の打開を図るのか、知事の決断が注目される。【松久英子、浜中慎哉】
◇地権者、伐採に難色
9月11日に静岡地裁であった空港事業認定取り消し訴訟で、国・県側が高さ制限を約10メートル超える立ち木が数本残っていることを認め、問題が表面化した。空港は工事が終わった段階で、安全性確認のために国の検査を受けることが義務づけられている。だが、立ち木が残っていると合格しないため、県は当初9月中としていた国への検査申請を、急きょ延期した。11月1日までに申請できなければ、国に出している開港計画を作り直さなければならなくなるため、「来年3月開港」を掲げる県は、がけっぷちに追い込まれている。
県は9月定例会で、議員からの質問に対し、一貫して「開港に支障のないように努める。詳細については答弁を控えたい」と具体的な方針を打ち出せなかった。さらにこの日の議運に出席した藤原通孝・総務部長も「申請期限が迫っているため、29日の全員協で対応について説明したい。具体的内容は検討中で、詰めた上で当日説明する」と述べるにとどめ、ぎりぎりまで解決策を模索する考えだ。
立ち木が期限までに伐採できれば問題は解決する。だが、立ち木の所有者は空港建設に反対し、「測量を誤り、立ち木が残ってしまったミスを県が認めることが先決だ」としており、早急な解決は望み薄だ。行政代執行による強制伐採は時間がかかり、間に合わない。
その上で、有力な解決シナリオの一つとして浮上してきたのは滑走路の短縮案だ。既に長さ2500メートルの滑走路の工事が終わっているが、それを申請では2000メートル程度に短縮し、立ち木があっても違法にならないようにするというアイデアだ。ある県議は「現在就航が決まっている飛行機のサイズなら、滑走路を短くしても離陸に支障は出ない」とする。
だが、滑走路を短縮すれば、それに伴う航空灯火などの配置変更などの手続きが必要で、開港が遅れる可能性は残る。航空会社側からも「空港の仕様が変更になれば、投入する航空機の種類を変更する可能性もある」(全日空)、「予定通りの計画を期待しているが、変更するのであれば対応を考えなければならない」(日本航空)などの声が上がっており、29日に表明される県側の対応策を注視している。
毎日新聞 2008年10月22日 地方版
一方、以下は静岡県知事に対する静岡空港に反対する共有地権者の会の抗議文である。
それを読むと、県が述べていることと事実は違うようだ。 すなわち、県は立ち木問題を以前から把握していたにもかかわらず、地権者等に対し、何らまともな合意形成をしてこなかった、すなわち誠意ある対応はせず、あいも変わらず強権的な対応をしてきたようだ。
今になって地権者に泣きついても地権者が分かりましたというわけがない。 何ともお粗末きわまりない。さらに石川静岡県知事は「県が土地の強制収用の対象外としてきた地権者の樹木が伸びた結果」だという。わずか一年足らずで数m立ち木が伸びるわけがない。
報道ステーションのインタビューにはエヘラエヘラ、何ともお粗末、杜撰、さらに誠意がまったく感じられない行政対応だ。
そういえば、中山前国土交通大臣が成田空港建設に関連し、地権者をゴネ得していると発言し、辞任に追い込まれたが、旧自治省出身の知事に対し、開港延期に伴うさらなる税金の不正支出(報道ステーションでは1億円)に関連し住民監査請求、住民訴訟が起こされるのは必至だろう!
2008年9月30日
静岡県知事 石川嘉延殿
空港はいらない静岡県民の会 静岡空港に反対する共有地権者の会
抗 議
去る9月22日に行われた定例会見において、知事は空港西側の立木問題に関して以下のように事実をゆがめ、県民を欺く発言をした。われわれは、これに厳重に抗議するとともに、発言を撤回するように要求する。
① 知事は、「航空法の高さを越える立木の存在を1年前から把握していた」と述べたが、われわれはそれ以前から制限を越える立木及び土石の存在を指摘し続けていた。にもかかわらず、県は言を左右にしてその存在に対する認否をこの9月の時点に至るまで行わなかったのである。
② したがって、知事の「地権者との話し合いを続けてきた」との釈明が全くの虚偽であることは明らかである。
③ また、問題が発生した原因は、「07年3月までの段階から木が成長して伸びた」からだという抗弁は、苦し紛れにも程があると言うしかない。わずか1年余で数メートルも伸びるものだろうか。
以上のように、知事の発言は事実に反し、県民に対する説明責任を放棄したものである。開港を不可能にするほどの問題を生起させた原因は、あげて県の空港建設事業自体、なかんずく、ずさんな測量をもって強権的に収用を急いだところにある。
知事は自らの責任を地権者や反対運動の側に転嫁することなく、この失態を認めて県民に謝罪すべきである。この空港建設は不要・不急の事業の最たるものである。われわれはあくまでも県民の利益となるような県政の実現のために、知事が誠実に県民に説明し、県民と話し合うことを求めてやまない。
以下は上記の抗議を報ずる産経新聞の記事である。
◆空港の立ち木問題で抗議
静岡空港反対の市民団体2008年10月1日8時25分配信 産経新聞 静岡空港西側の私有地に航空法の規制を超える高さの立ち木が数十本ある問題で30日、空港に反対する市民団体が静岡県庁を訪れ、石川嘉延知事にあてた抗議文を提出した。
文書は「空港はいらない静岡県民の会」(吉本健一代表)「静岡空港に反対する共有地権者の会」(芳賀直哉代表)の連名。石川知事が22日の定例会見で立ち木の存在を「約1年前に把握していた」「これまでも(地権者側と)話し合いをしてきた」などと述べたことなどについて「事実をゆがめ、県民を欺く発言」とし、県民への謝罪と発言の撤回を求めている。
立ち木は、滑走路の西側約1400メートルにある反対派住民の所有地内にあり、開港手続きに遅れが出る可能性もある。
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